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2019年7月19日更新

公園がつくる 場と景色|ロンドン住まい探訪[4]

文・比嘉俊一

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イーストロンドンでの大学時代④
公園がつくる 場と景色


ロンドンで暮らしていると、その都市の魅力は多彩な表情をもつ街並みだけでなく、豊かな屋外の公共空間にもあることが分かる。特に点在する多くの公園・庭園・広場から魅力を読み取ることができる。それらは歴史的な経緯や周辺環境によってパーク、スクエア、ガーデンなどさまざま。今回はロンドンの屋外空間の豊かさについて地理的、景観的な側面から書きたい。

はじめにロンドンは北海道より緯度が高い一方で、周辺の暖流と偏西風の影響で、特に春から秋にかけて屋外で過ごすのがとても心地いい。屋外での読書やピクニック、自然散策などに多くの人が親しんでいる。亜熱帯気候独特の強烈な日差し、蒸し暑さの中で育った私にとっては、気候の違いから生まれるライフスタイルの違いに驚かされた。また、長い冬が明けた後の「日光浴」は渡英して初めての経験だった。

景色をとどめて歴史残す外
街を散策すると、よく手入れされた公園や庭園を目にする。ロンドンが舞台の映画「ノッティングヒルの恋人」のワンシーンで有名だが、ロンドンには「スクエア」という周辺住民によって管理されてきたプライベートな共用庭園がある。周辺一帯は柵で囲われているが、手入れの行き届いた庭園は外から見ているだけで気持ちが良く、街並みと合わせて景観として楽しむことができる。自治体が管理している公共の公園・庭園も多く、老若男女問わず思い思いの時間を過ごしている。園内での禁止事項も多数あるが、庭園や公園にも周辺建築と同じように歴史があって、その変遷を含め尊重し維持管理していくという姿勢が感じられる。実体験として多くの場はよく管理されているように思う。

年を重ねても変わらないお気に入りの公共の場には愛着も出てくるだろう。自分の住む街をもっと理解すること、散策してみることの大切さを改めて感じさせられる。かえりみて、私たちの街の公共空間はどうあるべきなのだろう?悩みと楽しみは尽きない。



公園で週末の屋外コンサートを楽しむ人々。自然散策はもちろん、幅広い年齢層が場を共有し楽しめるのが、屋外空間の醍醐味(だいごみ)であり魅力である。気候上、「蚊」が少ないのも屋外で長時間過ごせる理由の一つだろう


 Hampstead Heath(ハムステッドヒース)という広大な公園内での現代アート。公園全体が自然保護区域に指定されている。その他にも王立公園など広大な緑地が都市にあるのがロンドンの魅力の一つである


カムデンのLincoln's inn  Fields(リンカーンズ・イン・フィールド)。ロンドンの公園は芝生におちる木々の木陰が本当に心地いい。公園周辺を取り囲む統一された様式の建物の中には国立美術館もあって景観としても見応えがあり、大学時代よく訪れた

庭園についての説明、歴史の変遷、オープン時間など細かく記載されている。園内での禁止事項については庭園によって異なる。一定の質を維持する上で多少の禁止事項は必要なのかもしれない

 

ひが・しゅんいち/1980年生まれ。読谷村出身。琉球大学工学部卒業後、2005年に渡英。ロンドンでの大学、設計事務所勤務を経て、16年に建築設計事務所アトリエセグエを設立。住み継がれる建築を目指す

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1750号・2019年7月19日紙面から掲載

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