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2019年7月4日更新

要支援者の避難円滑に|みんなの防災計画[4]

文・長堂政美
高齢者や障がい者など、災害時に自分で避難するのが困難な人がいる。そんな人たちの避難を、地域で支援しようという取り組み「災害時避難行動要支援者避難支援事業」について、2回に分けて紹介する。今回は概要や県内の現状など。

■災害時避難行動要支援者避難支援事業①

一人一人に避難計画
申し出が必要
災害が発生、または発生のおそれがある場合において、自ら避難することが困難な高齢者、障がい者、乳幼児、妊婦、外国人(言語と地理不案内)、観光客(地理不案内)など、配慮を要する人を「災害時避難行動要配慮者」(以下、要配慮者)といいます。

さらに、それらのうち、「円滑かつ迅速に避難するためには支援が必要であること」を自主防災組織などに申し出て、詳細な個人情報などを提供し、登録された人を「災害時避難行動要支援者」(以下、要支援者)といいます。

そうして登録された要支援者の避難を支援する有効な方法として「災害時避難行動要支援者避難支援事業」(以下、避難支援事業)があります。

これは要支援者一人一人の「個別計画」(個人情報をまとめた資料)を基に、それぞれの防災マップとなる「避難誘導計画」(要支援者の誰を、誰が、どのようにして、どこに避難誘導するのかをマップに落とし込んだもの)=左イメージ=を作成し、住民同士で組織する自主防災組織を中心に共に助け合おうというものです。

その際、必要になってくるのが、要配慮者と、その避難を支援する「避難支援協力員」の掘り起こし。アンケートなどで呼びかけますが、要配慮者の情報は民生委員などから入手し、特定しておくことも大切です。いずれの場合も、個人情報の扱いには注意しましょう。

また、的確な避難誘導計画が作成できるよう、住民が地域を歩き、危険箇所や防災資源の場所などを確認する「防災ウォーク」も実施しておきましょう。

災害時避難行動要配慮者の例(このうち、自主防災組織などに避 難支援を求め、登録された人が災害時避難行動要支援者となる)

避難誘導計画のイメージ



体制作りはこれから
県内でも、一部の市町村では既に避難支援事業を実施していますが、災害時に実動できるのか検証途上の段階と考えています。

しかし、地域やケアマネジャーなどから、制度の有り方や、避難支援体制の構築、個別計画の立て方などについて「説明してほしい」と声が上がり始めたことで、これから充実していくものと期待しています。

私たち防災サポート沖縄でも、2016年度から沖縄市で避難支援事業に取り組んでおり、当該避難支援体制が万全なものとなるよう、消防勤務時代に災害対応した経験を踏まえながら、地域とともに研さんしているところです。



ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長 098-923-4442

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1743号・2019年7月5日紙面から掲載

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