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2019年6月7日更新

自分の足で情報収集|みんなの防災計画[3]

文・長堂政美
災害時の避難場所や避難経路などを地図上に示した防災マップ。地域や災害弱者施設など、マップの利用者によって特徴が異なる。それぞれの作成のポイントや、自らの足で防災情報を集める「防災ウォーク」について紹介する。

■防災マップと防災ウォーク

地域や施設専用のマップに
災害リスクを確認

防災マップとは、災害発生時、またはおそれがある時に、素早く安全な場所に避難できるよう避難場所や避難経路、危険な場所などを地図上に示したもの。自治会・自主防災組織など地域で作成するもの、障がい者・保育園など災害弱者施設で作成するもの、学校・職場などで作成するものなどいくつか種類があります。

作成する際はまず、県や市町村のハザードマップを基に、各地域、施設、職場における津波・高潮、地震、土砂災害などの災害リスクを把握しましょう。

次に、そのリスクに対して、具体的にどう備えるかを考えます。例えば、津波であれば、避難経路、高台・ビルなどの一時避難場所、避難にかかる所要時間を実際に自分たちで歩いて調べた結果を地図上に表します。

ここで「防災ウォーク」という言葉があります。地域住民による防災情報の収集です。チームを編成して地域内を歩き、災害時に役立つ設備などを調べます。

仮に津波の心配のない高台地域であれば、避難場所、コンビニなどAED(自動体外式除細動器)の設置場所、消火器、公衆電話(災害伝言ダイヤル171)、生活用水の取れる場所(井戸・湧き水)、災害時に支援してくれる鉄工所・ガス・電気・土木業者、食料品など生活物資のある場所、車椅子・担架、防災無線の場所、安否確認など支援を要する災害弱者施設、病院・医院、薬局などが防災ウォークでの調査対象になります。

災害弱者施設では、施設専用の防災マップとなり、施設からの避難経路などを調べて地図上に標記します=地図2。被災時の収容避難所も明記しておきましょう。

防災ウォークの際には、距離・時間・経路をスマートフォンのGPS機能で確認します。海抜高度は国土地理院が公開している「地理院地図(電子国土Web)」で確認できます。

地図は2通り作成
津波防災マップは、県の想定を基に作成しますが、よく用いられるのが、第一波到達時間と津波浸水域です。ただし地震・津波は予測不可能な自然現象であり、あくまで予想です。対応するためには「避難に時間的な余裕がある場合」と「時間的余裕がない場合」との2パターンを示しておく必要があります=下地図1。

自分たちの事業所は自分たちで守ることが基本ですが、災害弱者施設では避難準備に最も時間を要します。乳幼児、障がい者、高齢者等の施設入所者の避難誘導も職員のみでは限界です。そんなとき必要なのが「共助」の考え方。近くの薬局、工場、パン屋、銀行など避難に協力してくれる業者等と避難支援に係る覚書を交わすことも検討しましょう。

地図は、子ども向けには手書きで分かりやすく、住民・施設向けには県地図(事前に承認必要)や、グーグルマップなどを基本地図として、防災ウォークで得た情報を書き込んでいきます。

防災マップ作成で必要な情報は、自主防災の視点にたって、自分たちで防災ウォークを実施して調べてください。われわれ防災サポートも手伝いますので、住民が納得するようなオリジナル防災マップを完成させましょう。



▲【地図1】沖縄市海邦町の津波防災マップ。避難までの時間的余裕がある場合は赤線の避難経路を使う。時間的余裕がない場合は地図中央部に緑のアイコンで示した津波避難ビルへ避難する



【地図2】沖縄市高原にある障がい者福祉施設Suns'コミュニティの防災マップ。右下の施設からの避難経路や、防災資源の位置、避難所の収容人数などが示されている



ながどう・まさみ/NPO法人防災サポート沖縄理事長、元沖縄市消防長 098-923-4442

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1744号・2019年6月7日紙面から掲載

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