木々が守る街中の隠れ家ホテル |HOTELに習う空間づくり[2]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

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2019年5月24日更新

木々が守る街中の隠れ家ホテル |HOTELに習う空間づくり[2]

当連載では県内のホテルを例に、上質で心地良い空間をつくるヒントを紹介する。

ココ ガーデンリゾート オキナワ(うるま市)
空間コンセプト「わが家のくつろぎ」

植栽で演出 南国ムード
「ココ ガーデンリゾート オキナワ」は不思議なホテルだ。うるま市石川の住宅地にあり、ビーチに近いわけでもない。だが、確かにリゾートの趣が漂う。

それは植栽の力も大きいのだろう。葉の大きな「バナナ」、くねるように枝を伸ばす「タコノキ」、思わず見上げてしまう「ヤエヤマヤシ」など、亜熱帯のダイナミックな植物がホテルを覆うように茂り、外界をシャットアウト。南国ムードを醸す。

鉢植えでなく、地植えの高木が多いのも同ホテルの特徴。「アコウ」や「モモタマナ」「フクギ」などが頭上で葉を密集させ、木陰を作る。沖縄の強烈な日光さえ遮るそこは、まるで森の中。屋外のハンモックやプールサイド=写真1、2=で気兼ねなくくつろげるのも、植栽が〝緑のブラインド〟となっているから。「昔から沖縄にあった植物が多いからか、県内のお客さまからも『ここに来るとホッとする』と言っていただく」と同ホテルのマネージャー・佐和田ひとみさんは語る。客室とパブリックエリアを柔らかく遮るのも、住宅街の喧騒からホテルを守るのも木々だ=3。

開業は1989年。グループホテルである「ルネッサンス リゾート オキナワ(恩納村)」の姉妹ホテルとして建てられ、「当時は修学旅行生も受け入れていました」。

植栽に力を入れ始めたのは「2000年ごろから」。「海は近くないけれど、決して立地は悪くない。高台にあるので、夏でも涼やかな風が吹き抜けるんです」との強みを生かす路線に変更。「ゆったりリラックスできるホテルを目指し、『わが家のくつろぎ』をコンセプトに客室やガーデンを改修しました」。リニューアルから約20年。パークゴルフ場だった場所には緑が根付き、森となった。

アースカラーの安らぎ空間
全96室ある客室は、自宅のように靴を脱いで入るスタイル。客室の中で、カップルに人気なのが天蓋(てんがい)付きのダブルベッドがある「ガーデンデラックスダブル」=4。窓の外には緑の濃淡。青空に映え、夕日の中では優しい色合いに変化する。移り変わる景色を楽しみ、「心の底からリラックスしていただきたいので、内装は茶やベージュなどのアースカラーでまとめています。ちなみに家具はオリジナル。木製で、バナナの葉やヤシなどの植物があしらわれています=5」。安らぎを優先し、色でなくデザインで個性を演出している。

ホテル内の他施設も、アースカラーの中にさりげなくオリジナリティーが光る。例えばスパのラウンジ=6=に彩りを添えるのはゴーヤーモチーフの紅型だ。落ち着いた緑単色のそれは、安らぎの空間にすんなりなじむ。窓の外には紅型と同系色の月桃がゆれる。

「例えば、月桃を見ればムーチーの話に、フクギを見れば防風林の話につながる。昔ながらの植物が多いので、お客さまとの会話も弾むんです」。ことし4月からはスタッフが敷地内の花木を解説するツアーを始めた。ガーデンで取れた果実やハーブはレストランで提供したり、体験プログラムで利用。庭の成長とともに、楽しみ方も広がっている。 



▲改修前はパークゴルフ場だった 改修前(1990年代)
.
レストランから客室へ向かう道も、まるで森の中。あちこちに吊るされたハンモックやプールサイドでティータイムを楽しむ宿泊客も少なくない(2枚とも同ホテル提供)




.プールサイドにも木々が茂り、外からの視線を遮っている


.斜面と高木が外界をシャットアウトし、住宅街の中にある同ホテルを喧騒から守る(同ホテル提供)


.天蓋付きのベッドがある「ガーデンデラックスダブル」。沖縄の自然を感じながらリラックスしてもらいたいと内装はアースカラーで統一されている


客室内の調度品はオリジナル。部屋によってあしらわれているモチーフが違う。写真の家具にはバナナの葉があしらわれている


.コスパのラウンジ。落ち着いた壁に掛けられた内装の中で、ゴーヤーの紅型が「沖縄」ムードを醸す



.ホテル内には宿泊客が利用できるライブラリーもある。塗り壁が素朴な雰囲気


取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1742号・2019年5月24日紙面から掲載

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東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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