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2019年2月1日更新

考えよう!沖縄の省エネ住宅[18]|ク―ラー1台で家中サラリ

 断熱+計画換気で結露を防ぎ、3世代住み継げる木造住宅を提案する(株)琉球住樂一級建築士事務所。専務取締役の伊良皆盛栄さんは「住宅の性能を適切に高め、自然素材と併用していけば、沖縄の真夏時でも冷房1台で家中をサラリと快適に保てる。エアコン効率が良くなるだけでなく、結露を防いで住む人の健康にもつながり、家も長持ちする」と説明する。

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設備+工法④/㈱琉球住樂一級建築士事務所「3代住み継げる家」

「断熱+計画換気」結露防ぎ省エネに

季節で自然風と空調を使い分け
昔から、自然風を取り入れることで夏の厳しい暑さを乗り越えてきた沖縄。だが、都市化や地球温暖化が進む現代は、プライバシーの確保や防犯上の問題からも窓が開けづらいだけでなく、夏場の熱中症といった健康面からも、エアコンに頼らざるを得ないのが実状だ。「その際、問題となるのが結露」と伊良皆さん。「梅雨から夏にかけての湿度が平均80%を超える沖縄では、昼間取り込んだ空気が夜冷やされただけで窓に結露が起き、カビの発生につながる。結露を防ぐには、温度差を発生させないことと湿度を過剰に取り入れないことが肝心」と説明。導き出したのが、無垢(むく)材や調湿効果の高い漆喰(しっくい)といった自然素材を使い、「断熱+計画換気」を軸に、さまざまな設計の工夫を組み合わせた「3代住み継げる家」だ。

 断熱は、屋根や壁は外張り断熱、窓には断熱・遮熱性の高い樹脂サッシとLow-Eペアガラスを採用。結露を防いでエアコン効率が上がるだけでなく、自然素材の効果と相まって住み手の健康にもつながる。

 加えて「気密性を上げ、家中の空気を効率よく換気できるよう給排気口の配置を工夫する『計画換気』」により、閉め切ったままでも家中に常に新鮮な空気を行き渡らせることが可能に。これにより、「気温差が少なく湿度も比較的低めの3~4月と10月ごろは窓を開け、自然の風を利用。夏場や冬場、梅雨時など自然風を取り込みにくい季節や、都市部では、窓を開けずとも快適に暮らせる」と説明する。

 さらに軒の深い雨端(あまはじ)や緑化で、直射日光の侵入や自然風の温度上昇を抑え、下部を数センチ開けた引き戸とオープンな間取りで家中に冷気を行き渡らせるよう工夫。「35坪程度の家ならエアコン1台を24時間運転することで家中をムラなく、緩やかに冷やすことができる」というわけだ。

▼世代を超えて愛され、住み継ぐための工夫


ーモグラフィーで見る雨端の効果/2017年8月末午後の雨端内のウッドデッキを計測。左上がデッキの写真、下がそのデッキをサーモグラフィーで見たもの。太陽熱で暖まった部分は62.1度で、陰は36.7度。日陰をつくることで躯体への熱負担も軽減できる(資料は全て琉球住樂提供)

3代で土地取得・建築・メンテ
もとは「住み手が健康に暮らせる家を造りたい」と考えたのが始まり。20~30代を過ごした埼玉で、古民家再生住宅や、自然エネルギーを活用しつつエアコン一台で快適に暮らせる木造住宅と出合ったことで、「世代を超えて住み継がれる、健康的な、沖縄型の省エネ住宅の必要性を痛感」。建材選びから施工法まで、沖縄の気候風土と現代の住環境を考慮した家づくりを追求したことが現在に。「省エネ住宅というと断熱性能や設備導入に目が行きがちだが、設計的工夫も重要。厳しい夏を乗り切る中で生まれた先人の知恵に学ぶところも多い。伝統工法と現代技術を融合させた家づくりを考えたい」と話す。

また「1世代で建てて壊すのではなく、親子で土地を取得し家を建て、メンテナンスしながら孫の代まで住み継ぐことは、環境負荷を減らすだけでなく、費用面の負担も減り、ゆとりにもつながるはず」とも。今後は「より手の届きやすい価格で提供できるよう規格化も目指したい」と話した。


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1726号・2019年2月1日紙面から掲載

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徳正美

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