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2017年3月3日更新

空き民家で高齢者に昼食【かまどぅハウス】|共に支える地域のチカラ⑩

集落内にある空き民家を活用して地域の高齢者の憩いと触れ合いの場、居場所づくりに取り組む、もみじ会。その活動拠点が「かまどぅハウス」と呼ばれる築約60年の民家だ。

家に閉じこもりがちな高齢者が週1回でも気軽に来て昼食とって、おしゃべりして、くつろいでくれれば。

「みんなが会長なんですよ、私たちの会は」。かまどぅハウスの活動に取り組むNPO法人もみじ会の安富祖愛子さん(67)は会の特徴をそう表現した。利用者がいて、活動拠点があって、無償で奉仕する人材がいて、ないのはお金だけ。会員が責任感を持って、活動資金はなくても地域のお年寄りのために尽くす。一人一人が会長の気持ちでないと、2006年8月から本格スタートして10年以上になる活動は続かなかったという。法人になったのは昨年12月。永続的に続けたいとの思いからだった。
「かまどぅ」は安富祖さんの義母さえさんの童名。さえさんが高齢のため施設に入所して、住まいが空き家になったのを機に、地域の高齢者のための活動拠点とした。
もみじ会は2000年8月に恩納村真栄田で発足したボランティアグループ。村のホームヘルパー養成講座を受けた人たちが講座終了後、今後も地域社会の役に立ちたいと15人ほどで立ち上げた。現在は5人が中心。みな、ほかに仕事や地域貢献をしながらの活動。利用料をもらって週1回の取り組みを2、3回に増やしたらいいとの声も寄せられるが、みな本職を休んで来るので、今は週1回が限度。会員の奥田忍さん(73)が「身の丈にあった、できる範囲の活動だから長続きできている」と説明した。
活動のメインは昼食。朝10時に集まった利用者のため、正午に料理が出される。台所に立つのは伊波絹江さん、石川希世子さん、亀田さなみさん。今は食材費として利用者から月千円もらっているが、それまでは持ち寄ったり、地域の人たちや利用者の家族からの差し入れでまかなった。献立表はない。朝来て、あるものでメニューを考える。取材時の食卓には村特産の高級果実アテモヤを含め18皿あった。はしを持つ宮平フミさん(89)と安富祖康子さん(80)は「(料理が)次々にわいてくる」と笑い、「おいしい」と満足そう。

◇ ◇ ◇
会は2013年に県の「第1回ちゃーがんじゅー地域大賞」に選ばれた。空き家を利用した、独り暮らし高齢者らの居場所づくりの活動が評価された。直面する課題は建物の老朽化、利用者の減少、資金不足など。今後は潜在的利用者への働き掛けを強める活動も強化する。


利用者もスタッフもいっしょに楽しく食卓を囲むのが、かまどぅハウス流。配膳係の奥田さん(右)は「急な来客でも2、3人は対応できる」と話す=恩納村真栄田


生年祝いなども活動の一環


八重岳で桜花見するスタッフの伊波さん(右端)と亀田さん(前列右)、石川さん(同中央)、安富祖さん(左から2人目)=2枚とも奥田さん撮影


かまどぅハウスは利用者が通いやすい住宅街の中にある。地域住民が育てたダイコンやニンジン、カボチャなどが玄関先に置かれていることも


NPO法人もみじ会 理事長 安富祖愛子さん(67)

 Topic 
築60年で老朽化激しい​
Q. 建物の老朽化が激しいですね?
 A. 安富祖  海洋博以前に建てたので、もう築60年ほどになります。ひさしのコンクリートが剥げ落ちて鉄筋がむき出しになっています。

柱や壁や天井など至る所、傷みが激しく奥田さんが補修・補強して何とかもってます。「このうちヘルメットかぶらないといけなくなるね」と冗談も出ますが、利用者の安全を考えると深刻です。どなたか無償でプレハブ住宅を提供していただけないでしょうかね。
購入資金がないので、運搬も含めお願いしたい。連絡は伊波、電話090-5287-2301へ。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1626号・2017年3月3日紙面から掲載
 

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上間昭一

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