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2016年11月18日更新

設計コンペの意義 自信と経験積む場|楽しい!ものづくり 沖縄未来建築塾2016より⑧

建築関係の学生や建築士を目指す若者の育成を目的に開かれている「沖縄未来建築塾」の5回目の講義が10月25日(火)、那覇市のおきでん那覇ビルで開かれた。塾の折り返しとなる今回は「設計コンペとは」をテーマに、一級建築士事務所ファイブディメンジョンの大嶺亮さんと、琉大環境建設工学科の金城春野助教が登壇。両氏とも「賞を取ることで自信が付くし、信用と経歴につながる」と建築家の卵たちに呼びかけた。


沖縄未来建築塾、5回目の授業の様子。「第5回アンダー40設計競技」に応募している生徒も多く、先輩の話を熱心に聞いていた

◆要綱を読み解く 大嶺亮氏

住宅や店舗の設計を手掛けながら、コンペにも積極的に参加する大嶺さん。施主とやりとりしながら建物を造っていく仕事と、コンペとの違いを「相手の反応を見ながら、プランを調整していく過程がコンペにはない。いきなりプランを提出するので、ともすれば独り善がりな提案になってしまう」と警鐘を鳴らす。
コンペで勝つために必要なのは「読み」だと力を込める。「要綱から先方が求めるものを読み取った上で、自分のやりたいことを表現する」。
内容の伝え方も、コンペの勝敗に直結する。「自分の考えをゴリゴリ押し込まず、引き込むように進めること。分かりやすく表現することが大切だと思う」。例えば外とのつながりを説明するならば、配置図をみせながらプレゼンするなどの工夫が必要だと説く。
コンペならば大きい事務所でも小さい事務所でも同じ土俵に立てることが魅力だと話す。「こういうチャンスを逃さないでほしい。力の無さを感じることもあるだろうが、それも経験だ」と建築家の卵たちを激励した。

◆周りに見せ、プラン整理 金城春野氏

金城さんは、25歳のときに40歳以下の建築士を対象にした設計コンペ「第1回県アンダー40設計競技」で最優秀賞を受賞。設計した浦添大公園南エントランス管理事務所が形になった。
作品は「おね線をずらした赤瓦屋根」=下写真。赤瓦屋根の勾配をずらしたユニークな形が「伝統と現代の融合を優れた造形にまとめた」と評価された。
金城さんも、1人で作っていると、独り善がりのプランになるのを感じた。「上司や先輩に随時見てもらい、アドバイスを仰いだ。それを自分の中で整理しながら練りこんでいった」。
プレゼンでは「着想の過程より、形の意味や機能面を説いた」ことも奏功したようだ。コンペで勝ったことで「早くから、自分が設計した建物の現場を見ることができ、経歴にもなった。出さなければ賞はもらえない。次のステップへ進むためにはチャレンジすることが大切だ」と、生徒たちに呼びかけた。 

アンダー40コンペで、金城さんが設計し最優秀賞を受賞した浦添大公園南エントランス管理事務所
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1611号・2016年11月18日紙面から掲載

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