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2023年8月4日更新

リビングをもっと快適にしたい! カギは家具配置や視線の抜け|家と心理⑰

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理学的に解析。今回は快適リビングの作り方を伝授。狭いリビングでも広く見せるコツや散らかりにくくする収納アイデアなどを紹介します。

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リビングをもっと快適にしたい! カギは家具配置や視線の抜け

 
 

動線踏まえレイアウト

リビングの役割は、家族みんなで、または思い思いにくつろぐ場所。しかし、人が集まる場所だからこそ散らかりやすかったり、窮屈に感じたりと、悩みの多い場所でもあります。今回は快適リビングをつくる三つのポイントを紹介します。


①家族のライフスタイルに合わせて家具を配置する

直線に行き来すればわずかな距離でも、家具と家具の間を迂回しながら歩くと余計な時間がかかります。家具を配置する時は、目的の場所になるべく短い距離でスムーズに行けるように考えましょう。

また、家族によって必要な家具やレイアウトは違います。まえうみ家のリビングは、まだ両親のそばにいたい小学生のこどもが二人いるので家族皆で座れて、寝っ転がったりもできるソファを置いています。

そしてテレビを見ながらでも家族の目線が合いやすく、自然と会話が生まれるような配置にしています。


②広く見せる

ポイントは「視線の抜け」。視線を遮らない家具の配置を考えましょう。

大きな窓のある部屋では、窓の外に視線が抜けるので、部屋が狭くても広々とした開放感が味わえます。上手に活用しましょう。壁の一部に大きめの鏡をつけて奥行き感を出すのも手です。

また、なるべく床を見せることでも広がりを演出できます。一般的にゆったりとした空間を演出するには、家具の面積は床の面積の3分の1程度が良いとされています。最大でも4割程度には抑えたいです。家具は一カ所にまとめて置き、床が見える面積を確保しましょう。

家具の面積を抑えるために重要なのがサイズです。店では小さく感じる家具でも、「部屋に置いたら大き過ぎた!」ということがないよう、しっかり採寸しましょう。特に見落としがちなのは奥行きです。注意してくださいね。


③スッキリさせる

大事なのは床にモノを置かないこと! これが私がリビングを気持ちよく感じる要因の第1位です。見た目も良いですが、掃除もラクですよ。

床などにモノを置かないためには、片付けやすい収納が不可欠です。わが家で一番効果があったのが、モノで収納場所を分けるのではなく、パーソナル(人)で分けること。お父さん、お母さん、姉、弟というように、家族それぞれの収納スペースを確保しましょう。片づけも促しやすくなり、各自で責任をもって管理しやすくなります。

あと、リビングで散らかりやすい洗濯物やリモコンなどを一時的に隠せる場所を作ったり、ソファの下を活用するのもおすすめです。

また、空間をスッキリ見せるためにはインテリアや内装も重要。家具は色や高さ、奥行きをそろえましょう。

落ち着き感のあるリビングにしたい場合はできるだけ、置く家具やモノの形・色を少なくし、シンプルにしましょう。ソファやテーブル、椅子などの主要な家具の色は統一するのが基本です。壁に沿って家具を置く場合は、壁の色と同じにすると目立たなくなって部屋が広く見えます。

お子さんのおもちゃがリビングにある場合は、おもちゃカゴやそれを隠す布地の色味を統一しましょう。

さらにもうひとテク。置く家具の高さをそろえるとスッキリ感が増します。低い家具の下にはブロックなどを置いて高さを調節するのもおススメです。

 

空間デザイン心理士®がアドバイス 快適リビングのポイント

①家族のライフスタイルに合わせて家具を配置する
家族の使い勝手を考えて家具を選び、動線の邪魔にならないように配置する。

②広く見せる
視線を遮るものや目障りなモノを少なくする。家具はなるべく集中させて配置し、空間のムダをなくす。床を見せることでも広がりを演出できる。

③スッキリさせる
床にはモノを置かないようにする。収納を設ける場合は、モノの種類ごとでなく「人」で分けて、自分のモノは自分で管理してもらう。置く家具の色や高さをそろえることでもスッキリ感が増す。

 


 Tさん宅の動線改善事例 

 

ビフォー

問題1・リビング・ダイニングの真ん中にダイニングテーブルがあり、寝室やリビングに向かう動線を邪魔している。

問題2・ソファの背面にあるワークスペースがリビングを狭くしている。

問題3・キッチンの家具を壁に沿って配置しているため調理動線が長くなっている。またダイニングとの境界もあいまい





アフター

①ダイニングテーブルをキッチンの中央に移動。各部屋への動線がコンパクトになり、移動しやすくなった。

②ワークスペースはソファの隣に移動。リビングが広くなり、ダイニングとの間に境界ができた

③キッチンの家具はカウンターとしても使える食器棚に変更し、ダイニングテーブルとくっつけた、調理動線も短くなり、時短につながっている。



 

まえうみ家のリビング

・テレビを見ていても自然と家族の目が合うよう、家具を配置している

・ソファは、セミダブルのベッドくらいの広さがあり、足がのばせて家族みんなでくつろげる(モーブル社・ドロシー)


 

リビングの収納アイデア

・リビングはなるべく床に物を置かないようにするとスッキリする。収納付きのソファにしたり、ソファのそばに引っ掛けたり隠したりするのも手。また、棚などの収納は物でなく「人」ごとに分けると管理がしやすい



 

まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net




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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1961号・2023年8月4日紙面から掲載

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