養生とごみ出し 補修材も確保|うちなー古民家移築に挑戦③|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

スペシャルコンテンツ

特集・企画

2015年10月30日更新

養生とごみ出し 補修材も確保|うちなー古民家移築に挑戦③

ウチナー古民家の移築には、解体する前の作業に膨大な時間とエネルギーを要する。沖縄戦をしのいだ築77年の木造赤瓦家を譲ってもらい、移築を前提に整備に着手したものの、養生とごみ出しに腐心する1年だった。

前準備は粘りと気合で

そもそも、木造古民家が解体・移築を余儀なくされるのは、その家に住み続ける人がいないか、老朽化のため建て替えざるを得ない環境に直面している場合がほとんど。4~5年も空き家状態が続けば、シロアリ被害と雨漏りで老朽化は一気に進む。
湿気がシロアリの活動を助長し、チャーギ(イヌマキ)といった島材など硬い材木も食い尽くされてしまう。まずは雨漏りを防ぐための養生が肝心だ。
しかし、いったん雨漏りが始まった瓦屋根は、漏れる箇所の特定が困難で、養生も一筋縄ではいかない。
並行して、残された家財道具やもろもろの生活用品のごみ出しがある。家具類や電化製品を置いたままだと、解体前に柱や部材に施す番付や実測、図面づくりに支障をきたすからだ。
何十年もの間に積もった屋根裏のほこりや床下のごみは、家の歴史と言えなくもないが、週末を充てるにしてもよっぽどの根気と気合の要る作業だと心得なければならない。


2年前の赤瓦古民家。すでにアマハジ(雨端)部分の屋根に亀裂が入っていた


昨年11月に譲り受けた際の状態。亀裂の幅がやや広がり、雨端部分の傷みが進んでいた


一番座後方の角は、屋根にオオタニワタリやガジュマルなどの草木が繁茂


2メートル近くに成長した屋根の木や、瓦に食い込んだガジュマルの気根をのこぎりで切る


ジャングルのようになった前庭も根気よく切り開く


一番座の横にも、落ちた瓦や農機具が混在していたので、手作業で選り分ける


これ以上、雨が染み込むのを防ぐためブルーシートで屋根を覆い、土のうを乗せて養生する


しかし今年7月の台風でブルーシートはズタズタにちぎれ、アマハジ部分の瓦は崩落してしまった


古い畳は湿りやすく、シロアリの快適な住まいとなって猛烈に繁殖する。早めに取り出して処分した方がよい


台所方面の料理器具や食器類は難敵だ


ほかの解体古民家から出た柱や桁(けた)などの構造材を補修用に確保した。一部にシロアリ被害が見られるものの、2年間野積みにされた割にはシロアリ被害の進行が見られない


補修用の古材は、いったん高圧洗浄をかけて防蟻(ぼうぎ)剤を施し、保管する。赤瓦もリサイクル


健全な瓦は選り分けて取り置く。台風で落ちた瓦は半分ほどが割れてしまった


解体し取り置かれていた中古の赤瓦を無償で譲ってもらう。しっかり焼き締められた赤瓦なら200年は持つとされ、サイズが大きく違わなければ補修用に生かせる

 

文化財も実は移築

赤瓦はリサイクル​


【中村家住宅】
沖縄の古民家を代表する中村家住宅(北中城村大城在、国指定重要文化財)も、琉球王府時代の18世紀半ばに、首里の士族住宅を移築したとの言い伝えがある。
25年前に主屋を修復した際、現状では符号しない仕口の埋め木があったのと、垂木を留めた和くぎの跡などが確認され、移築の可能性が裏づけられた。また仕口を大きく変更しないことから、「規模・形式をほぼ踏襲した」と、調査報告書は推測している。


【久護家住宅】
一方、1906(明治39)年に建築された久護家住宅(名護市屋部在、県指定文化財)は、新品だけでは足りない分として、中古の赤瓦を調達したとの記録がある。当時から有用なサイクル資材だった。


【Tさん所有の民家】
文化財クラスではない一般の民家にも移築例は多い。今帰仁村湧川にあるTさん所有のセメント瓦住宅は、戦前に名護市伊差川から移築され、その際、規模を小さくする「減築」が行われたと推測されている。


ごみ出しのルール守ろう

人が住まなくなった古民家の掃除では、ありとあらゆる家財道具や生活用具が残されているものと覚悟しよう。
しかし足踏みミシンや旧型の石油ストーブ、古い大工道具など、市町村のごみ出しブックに出てこないようなものもある。その場合は担当部署に電話し、出し方を聞くのが早道だ。
小型の家電や金属が主な家具は、金属買い取りをする処分場に電話し、持ち込むと買い取ってくれる。
気を付けなければならないのは、家電リサイクル法で定められたテレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、衣類乾燥機で、市町村により回収や搬入方法が大きく変わるので、必ず事前にチェックしておきたい。


 

編集/ 山城興朝 古民家鑑定士
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1556号・2015年10月30日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

キュレーター
山城興朝

これまでに書いた記事:7

古民家鑑定士一級。2011年4月~2013年5月まで週刊タイムス住宅新聞にて『赤瓦の風景』を連載。2015年から名護市で古民家の修復に着手し、並行してうるま市からの移築にも取り組んでいる。

TOPへ戻る