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2022年4月8日更新

住まいと暮らしとSDGs ⑦

本コーナーは、住まいと暮らしの中で取り組めるSDGs(持続可能な開発目標)について、読者と共に考えていきます。

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買い物は生産者への投票・エール

「エシカル消費」で貢献


未来を変える消費活動
住まいや暮らしに取り入れられるSDGsを考える本コーナー。今回は、最近よく耳にする「エシカル消費」について、消費生活アドバイザーの野原直子さんに執筆してもらった。

人や環境に配慮したモノを選ぶ

県内の高校生へエシカル消費について出前講座をしたときのこと。「エシカル(Ethical)」という言葉を知っているか聞いてみると、知っていると答えた人はクラスに数人。まだあまり知られていない言葉のようです。

エシカルは、日本語では、倫理的な・道徳的なという意味で、「エシカル消費」とは、人や地域、社会、環境に配慮したモノを消費する(商品やサービスを選ぶ)ことです。


買う前にモノの一生を考える

例えば、新しい服を買う時、あなたは何を考えて選びますか。手持ちの服とのコーディネート、どんな時に着るのか、素材、サイズ、着心地、価格など人それぞれにこだわりの条件もあるでしょう。そこに新たな視点として、エシカル消費かどうかを加えて選んでみてください。服を例にするなら、似たような服を持っていないか、長く着られるか、生産国では過酷な労働が強いられていないかなどが挙げられます。

そのモノの一生、「つくる」「運ぶ」「買う」「捨てる」までの間に、人や動物を傷つけたり、自然環境を壊したりしていないかと、購入前に立ち止まって考えることがエシカル消費につながります。購入する時はRで始まる七つの言葉をヒントにしてみてください。モノと向き合い、本当に必要かを考え、購入するなら使い切ることが大切です。

 

まずは自分ルールでやってみる

ですが、実際は難しいことも多いので、まずはできることから始めてみましょう。私は、エシカルとつながる言葉「もったいない」をベースに自分なりのルールを決めて実践。例えば、①食べ残しなしで食品ロスを減らす。外食で定食のごはんの量が多い時は、あらかじめ減らしてもらうこともあります。②古いモノをリメークして使う。手持ちの古いネックレスを好みの長さに作り替えて使っています。③なるべくリサイクルしやすい包装容器、小分け包装ではない商品などを選んでごみを減らす。この視点で見ていると、環境問題を意識した商品が増えているように感じます。

事業者は消費者に選ばれる商品を作りたいと思っています。消費者が選ぶ商品が変われば、事業者も変わります。モノを選ぶこと、買い物やサービスの契約は投票であり、モノを作る人たちへのエールでもあるのです。このような視点で商品を選ぶことで、「今だけ・ここだけ・自分だけ」を考える消費から、「未来・長期、地域・世界、みんなにやさしい社会」を考える消費になり、世界の未来を変える第一歩になります。





フェアトレード商品
発展途上国を中心とした生産者の暮らしの改善や自立を実現するために、生産者と購入者の間で正当な価格で売買される商品を選ぶ

エコ商品
生産から廃棄までの環境負荷が少ない、再生利用された商品を選ぶ。「エコマーク」をはじめ、さまざまな認定マークがある

ダイバーシティ(多様性)
障がい者就労支援施設などで作られた商品を買うことが生産者の自立の後押しにつながる。生産者の多様性、生物多様性などを考えてつくられた商品を選ぶ

食品ロス削減
必要なモノを必要な量だけ買う、購入したら使い切る、予約注文で作り過ぎがないようにするなど

地産地消・伝統工芸品
地産地消、伝統工芸品の購入は地域の活性化につながる。地元の商店街を利用するのも一手



【エシカル消費をするために】
・商品のタグや表示、お店の人の情報などから、生産方法、産地、材料、手入れ方法といった商品のことを知る
・購入する時はRから始まる七つの言葉をヒントに、商品やサービスを選んでみる。「減らす(Reduce)」「再使用(Reuse、再利用)」「リサイクル(Recycle)」に加え、必要以上なら「断る(Refuse)」、まだ使えるなら「修理する(Repair)」、一時的なら「借りる(Rental)」、買ったモノやつくった人に「敬意を払う(Respect)」

 

 執筆者 
のはら・なおこ/消費生活アドバイザー。今年3月まで県消費生活センターに勤務し、エシカル消費や契約について高校などへ出向いて講座。消費者トラブルは消費者ホットライン(☎188)へ
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1892号・2022年4月8日紙面から掲載


 

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