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2022年3月4日更新
[沖縄]建設業界で働く女性|3月8日は国際女性デー①
さまざな業界で活躍する女性が増えているが建設業界ではまだまだ少数。その中で、ひたむきかつ、しなやかに働く4人の女性を紹介する。
夢に向かって現場で経験積む
現場代理人 (株)福地組
座波佑芽さん(左)
ざは・ゆめ/1999年、那覇市出身。インターナショナルデザインアカデミーを卒業後、20年に(株)福地組に入社。
宮里萌加さん(右)
みやざと・もか/1998年、名護市出身。近畿職業能力開発大学校を卒業後、21年に(株)福地組へ
「女性で下っ端だからこそ、お願いごとがしやすい」(座波さん)
「できないことは、素直に周りを頼る」(宮里さん)
(株)福地組では、新入社員の何人かを施工現場に配属して、工事のいろはを学ばせる。2020年度入社の座波佑芽さん(22)、21年度入社の宮里萌加さん(23)も、その流れで現場へ。工事の管理や作業員を監督する「現場代理人」として勤務する。
座波さんは「現場に出られてラッキー。設計も施工もできる建築士になりたい」と話す。宮里さんも「インテリアコーディネーターを目指している。工事の流れを知り、空間デザインにも生かしたい」と続く。
男性社会の現場だが、「やりづらさはあまりない」と声をそろえる。「私一人で仕事をするわけじゃない。先輩や職人さんたちとのチームなので、できないことは助けてもらっている」と宮里さん。「強いて言えば、以前は男女共同トイレしかなくて行きづらかったけど、最近は会社も配慮してくれている。女性だから、というデメリットはそんなに無い」と座波さん。
現場に出ることに引け目も、気負いもない。「自分に必要なスキルを得る」ため、つなぎを着る。
工程調整に四苦八苦
座波さんは住宅や商業ビルなど7物件に携わり、昨年3月には初めてメインの現場代理人として一戸建て住宅に携わった。「自分の指示で工事が動くことにやりがいを感じた。ただ、スケジュール調整をミスして、コンクリート打設の日程が直前で変更になってしまった」と反省する。
宮里さんは現場に出て半年。「先輩の補佐をしながら流れを学んでいる。工程を撮影しながら安全や品質チェックをしている」と話す。
監督者として、職人たちに注意をすることもある。やりづらくないか聞くと、「女性で下っ端だからこそ、言いやすいかも。『~していただけますか?』『○○さんに頑張ってもらわないと間に合わないんです』ってお願いしている」と座波さん。
宮里さんは「私は、座波さんのようにうまく声掛けできない。チラチラと職人さんたちを見て、助けを求める(笑)。まだまだ力不足なので素直に頼っている」。
2人には夢がある。座波さんは「実家を新築したい。その時は、設計から施工まで全部私が手掛けたい」。宮里さんは「福地組はコンクリート打ち放しをあまりやらないけど、私はやってみたい。住み心地や耐久性も高められる提案をしたい」と目を輝かせた。
座波さんが2022年1月まで担当した物件。玄関前は杉板で型枠を造ってコンクリートを流し込み、木目を付けている。「一発勝負なので、型枠を外すときは、冷や汗が出るほど緊張した」
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取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1887号・2022年3月4日紙面から掲載
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。