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2021年3月19日更新

競売か? 任意売却か?|離婚にまつわる不動産事情Re:コンサル[6]文/川端ゆかり

気が付けばもう3月…は、は早すぎるぅ…。働く母さんは春夏秋冬忙しいけれど。この季節、3月はもう祭りです。

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競売か? 任意売却か?
夫が住宅ローン滞納!? …A美さんのケース

気が付けばもう3月…は、は早すぎるぅ…。働く母さんは春夏秋冬忙しいけれど。この季節、3月はもう祭りです。

わが家も娘が高校進学、息子が中学進学(いろんな意味で義務教育に感謝)、仕事も年度末でフル回転…そんな時にも夜の心療内科=心洗われるすてきな久茂地のbarで「マジで、支えてくれる妻がほしい…」とつぶやきながらウイスキーをたしなむ最近の私です。

私が男性ならばきっと「仕事熱心で子育てにも協力的ないいお父さん」。でもお母さんなもんで「お母さんの愛情が足りずに子どもがかわいそう」と言われてしまう。そんなときにはチーターの子育てを思い出して自分を励まします。狩り(仕事)から戻って子どもが無事でいることに感謝し、ぎゅっとハグ、以上! みたいな気持ちになります。


カードローンの金利は要注意!

さて本題! ご相談者は女性A美さん(50代)。知り合いのご紹介でのご来店です。

「競売開始決定の通知が届いたけれど何かの間違いかと思って夫に聞いたら、住宅ローンを滞納していたみたいで…どうすればいいのか…」と疲れたご様子。目は真っ赤になっていました。A美さんは日中パートで家を空けていることが多く、何度となくあった督促に気が付きませんでした。それもそのはず、郵便物は自宅でお仕事をするF男さん(夫)が隠し破棄していたとのこと。生活費はA美さん、住宅ローンはF男さんと2人で負担を分けていただけにだまされた気がする、とA美さんは憔(しょう)悴(すい)していました。

F男さんは事業資金と住宅ローンの支払いを地銀のカードローン200万円の「枠」を利用することで、A美さんに気付かれないようにしていたのです。A美さんはF男さんとの生活を大切に思っていましたし、F男さんも好きこのんで隠してきたわけではなく「あの仕事が受注できたら取り返せる! A美に余計な心配はかけたくない」との思いからカードローンを利用したとのこと。

ここで、アドバイスです。地銀とはいえどカードローンの金利には要注意! 短期間で返済の目途がない場合は延命措置になりません。軍用地カードローンや教育カードローン以外は年利4%を超え、場合によっては9%近いケースもよくあります。返済額が少額で気軽に利用できる、というメリットが「多重債務」という沼の入り口になることもあります。

                  
※期限の利益損失/住宅ローンの滞納が一定期間続くと「期限の利益を喪失」する。期限の利益を喪失するとローンの分割払いができなくなり、「一括払い」しなければならない。※代位弁済/返済が滞った場合、保証会社などが債務者に代わって、借入先の金融機関に一括返済してしまうこと。


選択肢は三つ 時間との勝負!

裁判所から競売開始決定の通知が届いているということは、もう時間との勝負で選択肢が限られてきます。ご相談を受けた私たちは、債務の内容、抵当権者の数、市町村からの差し押さえの有無などから、できること、できないことを判断する必要があります。

選択肢は次の三つ。

●任意売却にチャレンジする

●一括返済(限りなく不可能)

●競売を覚悟する


今回のケースでは抵当権者は地銀住宅ローン・地銀カードローン・市役所の差し押さえの3カ所であることを確認し、それぞれと交渉を重ね任意売却で進めることに。万が一競売に移行しても「開札の前日まであきらめずにチャレンジ!」をスローガンに、A美さんF男さんたちは愛着ある住宅を任意売却することになりました。売り出し早々に見つかった買主は、弊社の顧客で不動産の知識もある投資家の方だったこともあり、信頼関係とご協力をいただきながらスピード感のある売買が実現しました。競売前の任意売却ができ、私たちもほっとしたとともに、あと半年早く相談してくださったら、あと数百万円高く売却することができたかも、とチクリと心が痛む取引でした。

家を買うことがゴールではない

相談から売却までの間に、A美さんの表情はどんどん明るくなりました。任意売却の仕事のやりがいは、お客さまの笑顔が増えていく姿を傍らで見ることができるところでもあります。「どうして“家”にこだわっていたんだろう。今思うと、夫だけが悪いわけではなく、収入が不安定な私たちには無理が生じやすい住宅だったのかもしれません」とA美さん。ご夫婦の関係性にも気づきがあったようです。よかったです!

次回は「住宅をリフォームして関係を見直す」です。See you~




執筆者 川端ゆかり(かわばた・ゆかり)
1971年、浦添市出身。短期大学卒業後、那覇空港地上職・地元情報誌編集・建設会社不動産部勤務を経て1999年(有)とまとハウジング設立。趣味は猫とお酒と読書、仕事が絡まないゴルフ。https://www.tomato-okinawa.com/rikon/

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1837号・2021年3月18日紙面から掲載

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