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2017年7月28日更新

フラット35S 引き下げ幅縮小へ|気になるコト調べます!㉒

住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携し、融資する長期固定金利型の住宅ローン「フラット35」。今年10月の申し込み受け付け分から金利引き下げ幅が縮小される「35S」や、沖縄で利用しやすい「リノベ」について、フラット35を取り扱う日本モーゲージサービス沖縄支店の山田太支店長に聞いた。

10月に金利と団信保障内容変更。沖縄に有利な「リノベ」も

 

◎10月以降の主な変更点
  現在 10月から
フラット35Sの金利引き下げ幅 年▲0.3% ▲0.25%
団体信用生命保険の保障範囲
(3大疾病付き)
高度障害、死亡
(高度障害、死亡、3大疾病)
身体障害、死亡
身体障害、死亡、介護、3大疾病)
団信特約料の支払い方法 年1回別払い 月々の金利に上乗せ

フラット35リノベ
中古住宅を購入して性能向上リフォームする場合に、一定期間、借入金利を引き下げる。2018年3月末までの申し込み受け付け分は、金利の引き下げ幅が0.6%。対象となるのは「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」に優れた住宅で、性能により金利引き下げ期間が当初10年間または5年間となる。

 

団信の保障範囲拡大

フラット35Sは、省エネルギー性や耐震性などに優れた住宅を取得する場合に、一定期間、フラット35の借り入れ金利を引き下げる制度。引き下げの期間は住宅の性能により、当初10年間、あるいは5年間となる。
今年10月の申し込み受け付け分から、この金利の引き下げ幅が0.3%から0.25%に縮小される。2005年のフラット35S発売以降、0.3%を切るのは初めて。仮に借入額3千万円、融資率9割以下、フラット35の借入金利1.09%、借入期間35年、金利引き下げ期間10年の場合、引き下げ幅0.3%と0.25%では約14万円の差が出る=試算1。
 

[試算1] フラット35Sの金利引き下げ幅が縮小した場合
金利の引き下げ幅 借入金利と毎月の返済額 総支払額
当初10年間 残り25年間
▲0.3% 0.79% 8万1781円 1.09% 8万4790円 3525万600円
▲0.25% 0.84% 8万2467円 1.09% 8万4984円 3539万1367円
  差額 14万767円


日本モーゲージサービス沖縄支店の山田太支店長は「工事の請負契約を結ぶ前でも、図面や見積もり書があれば申し込み可能。9月30日までの受け付け分であれば、金利引き下げ幅0.3%でフラット35Sを利用できるので、ローンを検討している人は早めの準備を」と呼びかけた。
フラット35の団体信用生命保険(団信)は10月以降の受け付け分から、高度障害保障から身体障害保障となる。これにより保障範囲が広がり、現在対象となっているものより程度の軽い障がいでも、ローン残高がゼロになる。3大疾病付き団信では介護保障が追加され、「大きな安心につながる」と山田支店長。そのほか、特約料の支払いは金利に上乗せされるようになる。
 

中古を性能向上し優遇

山田支店長が「これからの商品」と注目するのが、昨年10月に発売された「フラット35リノベ」。中古住宅を購入して性能向上リフォームをすると、一定期間、金利が0.6%引き下げられるという商品だ。前述の試算と同条件の場合、引き下げ期間が5年間であっても、フラット35と比べて90万円以上の差額が発生する=試算2。住宅事業者によって性能向上リフォームされた中古住宅を購入する場合も適用される。
 

[試算2] フラット35リノベ適用の場合
  借入金利と毎月の返済額 総支払額
当初5年間 残り30年間
フラット35 1.09% 8万5949円 3609万8767円
フラット35リノベ
(▲0.6%)
0.49%
7万7743円
1.09%
8万4779円
3518万4953円
  差額 91万3814円


利用条件に、中古住宅の維持保全に係る措置をして適合証明書の交付を受ける必要があるが、劣化状況を確認するインスペクションや、瑕疵保険の付保、リフォームに関する写真や資料の保存などのうち、いずれかを行えばよい。
性能向上なので、もともと性能の高い住宅だと基準を満たすのが難しい一方、給湯器を高性能にしたり、段差の解消など、小規模なリフォームでいいのは利点。さらに、山田支店長は「沖縄の場合、地域区分の関係で、省エネ基準が県外よりも緩やか。マンションの照明を白熱球からLEDにするだけで、優れた省エネルギー性として基準を満たす場合もあるので利用しやすい」と話した。


※試算1、2とも、借入額3千万円、融資率9割以下、フラット35の借入金利1.09%、借入期間35年とした場合​



フラット35普及に努め感謝状受賞
日本モーゲージサービス沖縄支店は7月7日、県内でフラット35の普及に努めたとして、住宅金融支援機構から感謝状が贈られた(写真・同社提供)。融資の相談から、適合証明書の交付、基準に適合しているかの外皮計算まで、グループ会社と協力してワンストップで対応できるのが強みで、昨年度の融資件数は県内最多だった。事業者向けに買取再販ローンの取り扱いも始めた。



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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1647号・2017年7月28日紙面から掲載

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「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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