FP
2024年11月8日更新
FP・建築士が家づくり解説|夫婦でローン利用も
パネルディスカッション「40代、50代からでもつくれる家づくり」(主催・沖縄県土木建築部住宅課)が10月27日、県立武道館で行われ、1級ファイナンシャルプランニング(FP)技能士と建築士3人が登壇。家づくりの資金繰りや住まいの事例などこれからの家づくりを紹介し、参加した106人が聴き入った。
減税で総支払い額少なく
住宅ローンは多くの場合、80歳までの完済が基準となる。1級FP技能士の米須力さん(那覇市、FP39)は「長期的な収支バランスを把握し、資金計画を練ることが大切」と強調した。転職に伴う収入の増減や子どもの教育費などライフイベントを書き出すことで、「いつまでに住宅ローンを返済するのかなど具体的な計画を練られる」と話した。
1級ファイナンシャルプランニング技能士の米須力さんが住宅ローンや家づくりの資金計画などについて解説(右) パネルディスカッションのコーディネーターを務めた具志堅荘一さん
続けて、住宅取得の支援策の一つとして「住宅ローン減税」=下囲み参照=なども解説。「夫婦で利用すると総返済額が少なくなる場合もある」と米須さん。夫婦でローンを借りるタイプは①「ペアローン」②「連帯債務型」③「連帯保証型」と三つに大別できる。団体信用生命保険の加入が必要となるが、①②は住宅ローン減税が夫婦とも利用可能。「減税は最長13年間利用でき、その分繰り上げ返済などに充てることできる」と説明した。
また「ボーナスを返済に充てることはオススメしない」と持論を展開。理由として新型コロナウイルスの時、ボーナスの支給額が真っ先に減額されたと話し、「可能であれば月々の返済を続けたほうがいい」とアドバイス。ほかにも、「繰り上げ返済」で総返済額を少なくする方法も解説した。米須さんは「40、50代は子どもが大学進学などと重なるタイミング。若い世代に比べて、ローン返済期間は短いため、資金計画に悩んだらFPに相談してほしい」と呼びかけた。
来年4月 省エネ義務化
登壇した建築士の比嘉大介さん(浦添市、エー・アール・ジー)、比嘉裕隆さん(那覇市、泉設計)と松田まり子さん(浦添市、松田まり子建築設計事務所)は手がけた住宅の事例をそれぞれ紹介した。
登壇した建築士。(左から)松田まり子さん、比嘉裕隆さん、比嘉大介さん。それぞれ住まいの事例を紹介した後、家づくりのポイントなどについて意見交換した
比嘉大介さんは、1階のピロティ空間を貸し駐車場として利用した事例を紹介。「月々の収益化を図り建築費の負担軽減につなげた」。また、施主らと外壁の塗装を行ったと話し、「コスト削減だけではなく、住まいに愛着が生まれ、必要であればメンテナンスを施主自身で行うこともできる」とメリットを話した。
比嘉裕隆さんは自邸を例に、狭小変形地で行った家づくりを紹介。出窓などを使い、限られた敷地でも広がりのある空間づくりを紹介。「家づくりは土地探しから建築士に相談するのがベスト」と話した。
松田さんは、マンションの一室を改修した事例を挙げ、太陽の熱を遮る手段として、すだれなど紹介。建築費や省エネ性能について数値を示しながら、「複層ガラスを取り付ける高額な省エネ改修でなくても、低コストで効果的に日射遮へいできる」と話した。
コーディネーターの具志堅荘一さん(宜野湾市、アイ・エイチ・エー)は、来年4月から施行される「建築物省エネ法」にも触れ、「新築住宅は省エネ基準適合が義務化される」など今後の動向を解説した。
建築士が図面や写真を使いながら、分かりやすく解説した
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第2027号・2024年11月8日紙面から掲載
住宅ローンは多くの場合、80歳までの完済が基準となる。1級FP技能士の米須力さん(那覇市、FP39)は「長期的な収支バランスを把握し、資金計画を練ることが大切」と強調した。転職に伴う収入の増減や子どもの教育費などライフイベントを書き出すことで、「いつまでに住宅ローンを返済するのかなど具体的な計画を練られる」と話した。
1級ファイナンシャルプランニング技能士の米須力さんが住宅ローンや家づくりの資金計画などについて解説(右) パネルディスカッションのコーディネーターを務めた具志堅荘一さん
続けて、住宅取得の支援策の一つとして「住宅ローン減税」=下囲み参照=なども解説。「夫婦で利用すると総返済額が少なくなる場合もある」と米須さん。夫婦でローンを借りるタイプは①「ペアローン」②「連帯債務型」③「連帯保証型」と三つに大別できる。団体信用生命保険の加入が必要となるが、①②は住宅ローン減税が夫婦とも利用可能。「減税は最長13年間利用でき、その分繰り上げ返済などに充てることできる」と説明した。
「住宅ローン減税」とは税額控除と呼ばれるもので、所得税・住民税から一定の金額が控除される制度。新築住宅で同制度を利用する場合は原則、省エネ基準を満たした住宅に限る。控除額には次の三つのうち、最も低い金額が採用される。①支払った税金の金額②ローン借入残高の0.7%③年間の最大控除額21万円。詳細は国土交通省のHPで確認できる |
また「ボーナスを返済に充てることはオススメしない」と持論を展開。理由として新型コロナウイルスの時、ボーナスの支給額が真っ先に減額されたと話し、「可能であれば月々の返済を続けたほうがいい」とアドバイス。ほかにも、「繰り上げ返済」で総返済額を少なくする方法も解説した。米須さんは「40、50代は子どもが大学進学などと重なるタイミング。若い世代に比べて、ローン返済期間は短いため、資金計画に悩んだらFPに相談してほしい」と呼びかけた。
来年4月 省エネ義務化
登壇した建築士の比嘉大介さん(浦添市、エー・アール・ジー)、比嘉裕隆さん(那覇市、泉設計)と松田まり子さん(浦添市、松田まり子建築設計事務所)は手がけた住宅の事例をそれぞれ紹介した。
登壇した建築士。(左から)松田まり子さん、比嘉裕隆さん、比嘉大介さん。それぞれ住まいの事例を紹介した後、家づくりのポイントなどについて意見交換した
比嘉大介さんは、1階のピロティ空間を貸し駐車場として利用した事例を紹介。「月々の収益化を図り建築費の負担軽減につなげた」。また、施主らと外壁の塗装を行ったと話し、「コスト削減だけではなく、住まいに愛着が生まれ、必要であればメンテナンスを施主自身で行うこともできる」とメリットを話した。
比嘉裕隆さんは自邸を例に、狭小変形地で行った家づくりを紹介。出窓などを使い、限られた敷地でも広がりのある空間づくりを紹介。「家づくりは土地探しから建築士に相談するのがベスト」と話した。
松田さんは、マンションの一室を改修した事例を挙げ、太陽の熱を遮る手段として、すだれなど紹介。建築費や省エネ性能について数値を示しながら、「複層ガラスを取り付ける高額な省エネ改修でなくても、低コストで効果的に日射遮へいできる」と話した。
コーディネーターの具志堅荘一さん(宜野湾市、アイ・エイチ・エー)は、来年4月から施行される「建築物省エネ法」にも触れ、「新築住宅は省エネ基準適合が義務化される」など今後の動向を解説した。
建築士が図面や写真を使いながら、分かりやすく解説した
毎週金曜発行・週刊タイムス住宅新聞
第2027号・2024年11月8日紙面から掲載