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2024年11月1日更新

DIY型・贈与型 メリット多い賃貸|どうするその空き家 あなたの実家も!?

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

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 文/山入端 学
(全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部事務局長)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。8回目は空き家の具体的な活用方法と全国の事例について紹介する。
 
DIY型・贈与型 メリット多い賃貸

空き家の活用方法の一つ「貸す(賃貸借)」では、従来の普通賃貸借・定期建物賃貸借や事業用建物賃貸借の契約方式に加え、新しい取り組みとして、国土交通省が推奨する「DIY型賃貸借」や当協会が長崎県・大分県などの支部で取り組んでいる「贈与型賃貸借」などがあります。

個人住宅を良好な状態で賃貸するには、貸主(大家)が必要な改修や管理・修繕を行うのが一般的です。しかし「空き家等」においては経済的な理由から改修費用などの捻出が厳しく、放置されるケースが多くみられます。

現状のまま賃貸 自由にリフォーム

貸主には「改修費用を負担するのは難しいが、現状のままであれば貸してもいい」というニーズがある一方で、借り主(入居者)には「自分好みに改修したい」というニーズも見られます。こうした現状を踏まえ、国土交通省では、誰が工事費を負担するかにかかわらず、貸主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件を「DIY型賃貸借」として定義し、その普及に努めています。

つまり、入居者がリフォームする新しい賃貸住宅「DIY型賃貸借」では、貸主(家主)は「現状のまま貸すことができて改修工事の経費がかからず手間いらず」というメリットがあると同時に、借り主(入居者)には「現状のまま安価な家賃で借りられる」「賃貸住宅なのに自由にリフォームできる」「退去時に原則原状回復しなくてもいい」などのメリットがあるのです。

DIY型賃貸借の契約は、その手順や契約の取り決め事項のポイント、契約書式などが従来とは異なるため、詳しくは国土交通省民間賃貸住宅「DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックの作成について」のホームページを確認してください。





 

10年後に譲り受け子育て世帯を支援
二つ目の新たな取り組みは「贈与型賃貸借」です。これは賃貸住宅に①10年後も賃貸のまま住み続けるか②贈与で譲り受けるか、の選択が可能になる新たな賃貸借の仕組みで、子育て世帯の支援にもつながるものです。

子どもの教育資金は、大学進学時に最も負担が大きくなります。贈与型賃貸借は、まさにその時期に家賃負担がなくなり、古いながらも自分の家が持てるという画期的な取り組みで、1人親世帯を含む多くの子育て世帯にこそ住み続けてほしいとの思いのもと開発されました。収入状況などにより融資をうまく利用できないといった理由で、マイホームを持つのが厳しい場合にも、有効な仕組みです。

建物の状態で違う経費や活用方法
これまで解体するしかなかった古い家を残すことで利用できる贈与型賃貸住宅は、環境にも優しいマイホーム取得支援策となっており、国土交通省の2023年度空き家対策モデル事業として大分県国東市で採択され、事業が実施されています。

このように空き家の利活用では、全国でさまざまな取り組みが行われていますが、建物の状態によってその方法やかかる経費は大きく変わります。建物のメンテナンスや維持管理はもちろんのこと、空き家になる前に「今後どうするのか」を考え、対策を立てておくことが重要なのです。



やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長

全国空き家アドバイザー協議会 沖縄県名護支部
電話=0980・43・1613


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2026号・2024年11月01日紙面から掲載

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