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2016年4月22日更新

屋内外一体で安心感|久友設計(株)

平川さん宅は、1階にデイサービス施設を併設する鉄筋コンクリート造2階建て。コート(中庭)を中心に、家族のコミュニケーションが育まれている。

家族つなぐコートハウス

平川さん宅 RC造/自由設計/家族5人



リビング(手前)と子ども室(奥)の間にあるコートは格好の遊び場
 

子どもが元気に駆ける

沖縄県本島中部、うるま市の繁華街に近い住宅地に建つ平川さん宅は、鉄筋コンクリート造2階建て。1階は夫人(34)が経営するデイサービス施設で、2階が住居だ。

2階の玄関へと向かう階段室の一角には水盤があり、心地よい水音に心が和む。

住まいは約10畳のコートをコの字に囲むように居室が並ぶ。行事には大勢が集うことからリビングは広めで、仏壇のある和室とも一体的に使えるようになっている。平川さんは「外からの視線や騒音を気にせず過ごせる」と喜ぶ。

コートを挟んで北側にLDK、南側に子ども室があり、「キッチンからも子ども室に目が届くので、すごく助かってます」と夫人。向かい合う掃き出し窓を開け放てば、コートを含め一つの空間に。青空の下、長女(8)と次女(3)はままごと遊び。コートの東側、2階スラブを利用した芝庭では、長男(9)がバッティング練習に汗を流す。

長男の友だちが集まれば、ドッジボールに鬼ごっこ。「まるで外みたいな家」と夫人。外で遊ぶには何かと危険も多い現代。共働きの平川さん夫妻は、「いつ帰ってきても、子どもたちが家の中で遊んでいるのは安心」と口をそろえる。
 

仕事も家事も楽に

築30年になる2階建ての実家を建て替えた平川家。建物は古くなっていたが、「家づくりは息子が成人してからでもいいと思っていた」と平川さん。介護の仕事に携わっていた夫人が「デイサービスを開所したい」と希望したことから、施設併設の住宅をと、知人宅を手掛けた建築士事務所に設計を依頼した。

現場監督を務める平川さんは自ら施工に関わり、夫人が希望した開所日に間に合うよう工事の管理に当たった。完成後は、子どもたちのためにと料理にも挑戦中。「食事を作ってくれるのはありがたい。この家は動線がスムーズで、家事も楽になりました」と夫人。

今後は野球に励む長男のために、「屋上にバッティングセンターを作りたい」と夫妻は夢を膨らませた。


打ち放しの壁がアクセントになった2階のLDK。左手がキッチン、右手に和室が続く。高窓からは月や朝日が見えることも


リビングと一体的に使える和室。障子が通る桟の上部をつり下げ式にし、リビングの雰囲気になじませた


明るい洗面室。広い洗面台は、洗濯物を畳むのにも重宝している。「洗濯物を畳んで置いておくと、子どもたちがそれぞれ持って行ってくれるんです」と夫人


外観。写真右手が2階の住居への出入り口。三角に切り取った外壁のコーナー部分から階段室に光が届く


夫妻の寝室。夫人が夜勤明けの際に、日中でも眠りに付きやすいようにと暗めの空間にしつらえた


寝室の西側に続く、夫人自慢のウオークインクロゼット。季節外れの子ども服を中心に収め、「掛けて収納できるのが便利」


2階へつながる階段室の一角に設けた水盤は、1階食堂の地窓(写真右手)からも眺められ、施設利用者の癒やしにもなっている

 

ここがポイント
「下階と周囲にも配慮」


平川さん宅は繁華街に近い住宅密集地にあり、1階にはデイサービス施設を併設することから、プライバシーの確保が第1の課題だった。設計した建築士の久田友一さんは「コートを中心に各居室が見渡せ、明るさ、風通しも良いコートハウスを提案しました」と話す。

LDKからはコート越しに子ども室まで目が届き、常に家族の気配を感じられる造り。外壁には大きな開口を設けず、高窓やスリット窓にして外からの視線を遮る。洗濯機のある洗面室とウオークインクロゼットの間にも物干し場になるコートを設け、「洗濯して干す、収めるまでをスムーズにできるよう工夫しました」。

敷地は東側と南側が道路に面する角地。出入り口は1階は南側の奥に、2階は東側に設けて施設利用者と家族の動線を分けた。「敷地が広かったので、建物の大きさで周囲に圧迫感を与えないよう、道路から約7.2メートル後退させて建築しました」。道路との間にできたスペースは駐車場として活用する。

1階の間取りとの兼ね合いも重要なポイントだった。「食堂は天井高を上げて開放的にしたい」との夫人の希望から、1階の食堂は吹き抜けに。その上部にあたる2階東側のスラブには、芝生を植え込むことで目線の先に緑を取り込んだ。

※1階の事業所部分は割愛


[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども3人
敷地面積 :532.80平方メートル(約161.17坪)
1階床面積:220.96平方メートル(約66.84坪)
2階床面積:149.60平方メートル(約45.25坪)
建ぺい率 :49.68%(許容60%)
容 積 率:69.55%(許容100%)
用途地域 :第一種低層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート造ラーメ ン構造
設 計 :久友設計(株)久田友一、三井康介
構 造 :(株)田中構造設計
施 工 :(有)三成工業
電 気 :(有)翁長電気工事
水 道 :(有)協進

[設計・問い合わせ先]
久友設計(株)
電話:098-974-4327
http://www.hisatomo‐p.com
写真/高野生優・フォトアートたかの撮影
編集/比嘉千賀子
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1581号・2016年4月22日紙面から掲載


 

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住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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