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2017年8月11日更新

木造風 集いの家|(有)空間計画アーティザン

[お住まい拝見・4層2階建て スキップフロア住宅]当初の希望は「木造・平屋」だったUさん。だが、予算や敷地の形状から、木をふんだんに使用した4層2階建てのスキップフロアを選択。「階が違っても家族の顔が見えて安心」と喜ぶ。

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リビングの南側にある縁側は、家族のお気に入りスペース。Uさんが手塩にかけた庭木を見ながら朝ごはんを食べたり、友人を招いて「プチビアガーデン」を楽しむ
 

イメージは「大正ロマン」

Uさん宅
RC造/自由設計/家族6人

「『大正ロマン』な雰囲気が好き。木造の平屋も考えたけど」とUさん(42)。予算や希望の部屋数を擦り合わせた結果、選んだのは2階建ての鉄筋コンクリート造(RC造)。
だが、ツヤ無しの杉材をふんだんに使った室内は木造さながら。Uさんは「雰囲気は妥協しなかった」と胸を張る。
特に効いているのは、障子や窓などの木製建具。ダークカラーの木枠が、モダンな家を〝ハイカラ〟に見せる。「ここはわが家の自慢。タイムス住宅新聞をめくっていて、木の建具の家があり『これだ!』と思った。それが依頼した建築士さんの家だった」。


リビングからダイニング・キッチンを見る。キッチンの目前にある階段を半階のぼった中2階に子どもたちの勉強室がある。親と子、互いの姿が見えて「あんまり階の違いは感じない」と夫人
 

庭広く取れ「最高!」

実家近くの土地を購入。接道側へ向かって約1.5メートル下る傾斜地だった。建築士からは形状を生かし、3台分の駐車場を0.5階に、LDKと和室を1階に、勉強室・寝室・浴室などを中2階に、子ども室を2階に配する4層2階建てのスキップフロアを提案された。
「家族の顔が見えるよう」平屋を希望していた夫人(40)も、「キッチンと勉強室は半階しか離れておらず、目が届く。希望した部屋数も確保できて一石二鳥」と満足げだ。
空間を縦に重ねた分、庭が広く取れた。Uさんは憧れだった日本庭園の手入れに励む。手塩にかけた草木を望む縁側は、家族皆のお気に入り。「朝食はもっぱら縁側で食べています。友人を招き、ここでお酒を飲むのも最高!」と語る。「主人は人を招くのが好きなので、私と子どもは遅い時間になったら中2階へ。だから、浴室を上の階にしてもらって良かった」と夫人。
「木造・平屋」の構想から始まった家造り。取捨選択を重ね、落ち着いたのは真逆の住まいだが、「当初のイメージを上回った。日々、この家で良かったと思う」。Uさんの言葉に、夫人も深くうなずいた。


リビングの上部には、2階の子ども室前の廊下へ続く吹き抜けがある。家族の気配を伝えるだけでなく、リビングを広く伸びやかに感じさせる


ここがポイント

スキップフロアと 吹き抜けで一体感

小学生から0歳まで、4人の子どもがいるUさん家族。「子育てのしやすさを考えると、平屋がいいのは分かる」と設計を手掛けた空間設計アーティザンの津波光教さん。だが敷地が傾斜していることや、希望する部屋数を鑑みて4層2階建てのスキップフロアを提案。「コストを抑えながら、家族の顔が見えるよう工夫した」。
一番低くなっている接道側には駐車場を配置。半階(約2メートル)上ったところに1階を設けた。「なるべく傾斜と床レベルを合わせ、盛り土などの造成工事を必要最小限に抑えた」。
間取りは、1階のキッチンと中2階の勉強室を近づけ、互いの顔が見えるようにした。さらに、1階のリビングから2階の子ども室まで続く吹き抜けも設け、「気配が伝わるようにした」。
「庭がほしい」との希望をかなえるにも、縦長に居住空間を確保することは理にかなっていた。「南側は隣家と接している。緩衝帯として間に庭を置くことで、大開口と縁側が設けられた」。隣家との間の塀は花ブロックにし、風を妨げないようにした。
また、「大正ロマン」の雰囲気造りのため、室内は濃い色の杉材を、外部はヒバ材を使用。全部を板張りにせず、白い壁も残してメリハリをつけた。ガラス戸には部分的にすりガラスを入れてレトロ感を演出した。




家の中でも特に「大正ロマン」感が漂う和室。すりガラスの入った障子や、木製サッシの掃き出し窓、その外側にある無双窓付き雨戸といったダークカラーの建具と、夫妻が吟味したレトロな時計やランプが見事に調和している


中2階の勉強室。引き戸はすりガラス張りだから、音は遮りつつ中の気配は感じられる


2階の子ども室は、三つに仕切れるようになっている。今はオープンにしてあり、子どもたちが走り回っていた


[DATA]
家族構成 :夫婦、子ども4人
敷地面積 :230.65平方メートル(約69.77坪)
1階床面積:114.16平方メートル(約34.53坪)
2階床面積:89.71平方メートル(約27.13坪)
建ぺい率 :53.34%(許容60%)
容 積 率:70.71%(許容200%)
用途地域 :第一種中高層住居専用地域
躯体構造 :鉄筋コンクリート壁式構造
設  計 :(有)空間計画アーティザン 津波光教
構  造 :ユーアン建築設計
施  工 :(株)フレームワーク
電  気 :重信電気工事(株)
水  道 :(有)名設



[問い合わせ]
(有)空間計画アーティザン
098-958-5777
http://artisan.ti-da.net


写真/矢嶋健吾 編集/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1649号・2017年8月11日紙面から掲載

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スタッフ
東江菜穂

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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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