お住まい拝見
2017年4月7日更新
24坪でもゆとり空間・コンパクトな家|アトリエTAKE5
家は「平屋でコンパクトに」と決めていたUさん夫妻。建坪24坪ながらカフェのようなゆったり感が漂うのは、広いLDKと、そこに隣接する土間玄関やテラスがなせる技だ。
Uさん宅
RC造/自由設計/家族3人
生活の中心となるLDKは24畳とゆったり。大きな土間玄関との間仕切りは木ルーバーで圧迫感もない。打ち放しの室内に、こだわりのインテリアやグリーンが映える
広い土間玄関が機能的
南部の昔ながらの住宅街に建つUさん宅は、南にテラスとつながるLDK、北に個室や水回りと、南北で公私を分けた2LDKだ。「大きくても使わなければ意味がないからコンパクトに。共働きでお互い仕事がハードなので、掃除がしやすくて、帰りたくなるようなホッとできる家が欲しかった」と夫妻。
夫婦ともにアウトドア好きでインテリア好き。コンパクトだからこそ必要なものを厳選し、取り入れ方にもこだわった。
例えば見学会で気に入ってリクエストした土間玄関は、あえて大きくし機能的に。「今は自転車を置いていますが、子どもがもう少し大きくなったらスポーツ道具を置いたり、鉢を並べて植物を育てたり、いろいろ使えそう」とUさん。玄関はLDKの一部として使え、リビングの窓を開ければ、ハンモックが揺れるテラスまで開放的な空間が広がる。
素材使いもこだわりの一つだ。予算が限られていたことから室内外は打ち放しにしたものの、通りに面する大壁は西日対策を兼ねて県産のレンガタイル張りにした。「キラキラ、ピカピカしたものは、時間がたつとメッキがはがれる感じがして好きじゃない。レンガなら古さが味わいになるし温かみも出ますからね」。
イメージしたのはロサンゼルスのカフェ。コーヒー片手にダイニングに腰かけ、毎週末のようにバーベキューを楽しむテラスや風に揺れる植栽を眺めるのが至福の時だ。
子ども室から見たLDK。段差を少なくしたことで土間玄関まで室内の延長として使える。「アウトドアグッズはカウンター収納に収めていますが、下が土間なので出し入れの際も汚れを気にせずにすむのがいい」とUさん
玄関から室内を見る。子ども部屋まで続く左手のカウンター収納が奥行きを演出する。カウンターは飾り棚やデスクとして多目的に活用/写真左
キッチン。圧迫感が出ないよう、IHコンロと換気扇は壁付けに。ダイニング側のシンクと作業台は手元を隠して/写真右
収納兼物干しでラク
夫人がこだわったのは、一角に洗濯機を置いて収納まで兼ねた室内物干し場だ。「洗い終わったらその場で干して除湿器をかけるだけ。乾いたらハンガーごと隣のポールに移動するだけだからラクなんです。物干し場という名のウオークインクローゼットのようなもの」と笑う。当初は外にと提案されていたが「沖縄といえど冬は寒いしスコールも多い。室内にして正解でした」。
実は夫人の姉が建築士で、「結婚当初からインテリアや収納などは相談していた」という夫妻。出産を機に家づくりを考え始め、大きさも価格もこれならと思う土地が見つかったことで夢が現実になった。
現在はパソコンスペースとして家族で使っている子ども部屋は二つに仕切ることができ、物干し場も洗濯機を移動すれば部屋としても使用可能。こだわりと機能を詰め込んだ住まいは、コンパクトでも家族の暮らしと将来に大きなゆとりをもたらした。
子ども部屋。子どもがまだ小さい現在は、右手のカウンターをUさん夫妻のパソコンスペースや仕事道具入れとして活用。引き戸を開ければLDKや水回りと回遊できる造りになっており便利。出入り口も二つ確保しているので、二部屋に仕切って使うこともできる
室内物干し場。「衣類かけの向かって左半分に洗濯物を干し、乾いたら右へスライドするだけなのでラク!」と夫人
外観。西日対策とデザインを兼ねた県産のレンガタイルに足元の緑が映える
ここがポイント
部屋面積とコスト
かけどころを厳選
「コンパクトでもゆとりのある空間づくり」が求められたUさん宅。ポイントになったのは「部屋の面積もコストも、かけどころを厳選した点」と建築士の小谷みゆきさんと友利正さん。
一番面積をとったのは床面積の約半分にも及ぶ24畳のLDK。「一般的なマンションより6畳ほど広く、天井も高めにすることで、ゆったり感を演出」。段差をなくして一体化させた土間玄関や隣接するテラスが、より開放感をもたらしている。
その分、個室や水回りはコンパクトに。特に寝室は4・6畳と小さいものの、隣に収納、洗濯場を兼ねた多機能な室内物干し場を設置。個室は寝るのみにして家具を絞り狭さを払しょく、家事効率もアップさせている。
コスト面では、室内外共に仕上げを省き床は杉材を使うなどしてコストカットを図ったが、唯一西側の外壁面のみ西日対策とデザイン性を重視してレンガタイルを使用した。
また「必要な場所に必要なものを必要な量だけ収められる収納計画」もポイント。靴やアウトドアグッズ、本や仕事道具は玄関から子ども部屋へと続くカウンター
に、日用品やストック品、季節ものや掃除道具は廊下脇に収まるよう収納を造り付け。中は雑多でも扉やカーテンで目隠ししているので気にならない。必要なものをすぐ出し入れできる工夫が、すっきり広々とした空間維持に一役買っている。
[DATA]
家族構成:夫婦、子ども1人
敷地面積:155.08平方メートル(約47坪)
1階床面積:80.93平方メートル(約24坪)
建ぺい率:54.62%(許容60+10%)
容積率:52.18%(許容200%)
用途地域:市街化調整区域
躯体構造:鉄筋コンクリート造壁式構造
設 計:アトリエTAKE5(小谷みゆき・友利正)
構 造:ASD planning
施 工:(有)大繁建設
電 気:喜友名電気
水 道:大設工業
植 栽:(有)繁樹園
キッチン:(有)ファイン
[問い合わせ先]
アトリエTAKE5
098-890-3052
http://www.a-take5.com
写真/矢嶋健吾 編集/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1631号・2017年4月6日紙面から掲載