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2017年11月3日更新

91歳まで現役 図面描き続け|フランク・ロイド・ライトの家具[07]

著者の遠藤さんが、今年の夏にアテンドしたフランク・ロイド・ライトの建物を巡る「ライトツアー2017」編・第4弾。最後は、ニューヨーク近代美術館で開催された「ライト生誕150年記念展覧会」の様子です。91歳まで精力的に設計活動をしたライトの足跡を振り返ります。

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ライトの建築を巡るツアーから「生誕150年 記念展覧会」

日本とライトの縁

ライトツアーはシカゴ郊外のオークパークの住宅群、ロビー邸、落水荘などを経て、最後の目的地ニューヨークへと向かいます。
渦巻き型の展示空間を持ったグッゲンハイム美術館の見学はもちろんですが、今回の訪問のもう一つの目的はニューヨーク近代美術館で開催されているライト生誕150年を記念した展覧会です。
ライトが生まれたのは1867年。日本ではちょうど江戸幕府から明治政府へと政権が移った大政奉還の年にあたります。
日本の文化と芸術を敬愛したライトが、日本が近代的社会へと成長を遂げるために再生した年に、時を同じくして誕生していたことには、とても感慨深いものを感じます。
国内の著名人では幸田露伴、夏目漱石、正岡子規、建築家では伊東忠太がこの年に生まれています。
海外ではキュリー夫人、また同じ名字のライト兄弟の兄も同じ年の生まれです。


著者の祖父の遠藤新が関東大震災の直後に、ライトへ帝国ホテルの無事を知らせた手紙


美しいパース画堪能

ライトは1959年に91歳で亡くなるまで、生涯現役で精力的に設計活動を続けていました。展覧会ではその全貌が時代の流れに沿って紹介されています。初期のプレーリーハウスから転換点となった日本での業績、後期のユーソニアンと都市計画など、実現しなかったものも含め余すことなく展示されていました。
当初は450点ほど選んでいた展示物を、スペースの関係で400点に絞り込んだとのことで、それでも膨大な量の展示でしたが、建築が専門でなくても、ライトが描いた美しいパース画を眺めているだけで十分に楽しむことができます。
会場は写真撮影が自由でした。近年はSNSの普及で集客効果が見込めるため、今までは撮影が禁止だったライトの建物の内部も、今回のツアーでは撮影可能になった場所がたくさんありました。
現在日本でもライト展の準備が進んでいます。2020年の初頭に東京の美術館で開催し、その後地方の美術館を巡回する予定です。今回紹介したニューヨークの展示とは、規模は小さくとも全く違った内容を企画中ですので、お楽しみに。



展示物の一つ。ユーソニアンハウスのためにデザインされた椅子の図面


実現しなかった小田原ホテルのパース画


実物とは微妙に異なるグッゲンハイム美術館のパース画




[執筆]遠藤現(建築家)
えんどう・げん/1966年、東京生まれ。インテリアセンタースクールを卒業後、木村俊介建築設計事務所で実務経験を積み独立。2002年に遠藤現建築創作所を開設し現在に至る。


『週刊タイムス住宅新聞』フランク・ロイド・ライトの家具<07>
第1661号 2017年11月3日掲載

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