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2017年4月14日更新

外壁メンテ1ヵ月密着|那覇市・一戸建

【築28年・鉄筋コンクリート造】メンテのホンネ[1]|住宅メンテナンスの本当のところに迫る。初回は築28年のRC造、Aさん(61)宅の外壁メンテ工事に密着。工期は1ヵ月、金額は約280万円。どんな工事をへて、どう変わったのだろうか。

メンテのホンネ

外壁メンテ1ヵ月密着

欠損やさびの修繕も

「今まで大がかりなメンテをしたことがない」というAさん宅。家の状態を知るため、まず業者に見積もりを依頼。外壁の汚れだけでなく、欠損や水道管の修繕も必要だと知った。かかる金額は約280万円。「これ以上、悪くならないうちに」と工事を決意した。


築28年がたつが、大がかりなメンテナンスをしたことはなかった。「何かが壊れたら、その時々に業者を呼び、壊れたところだけを直してもらうくらい」だった。
ある日の朝、Aさんが外に出ると玄関に石の塊が落ちていた。見上げると「玄関の軒が欠けていた。汚れもひどいし、メンテナンスしなければ」と重い腰を上げた。
いくつかの業者に外壁などの状態をチェックしてもらうと、B判定が多く(参照)「さほど悪い状態ではない」とのことだった。だが、塗装の劣化の目安である「白亜化(壁を触ると白い粉が手に付く)」が全体的に見られた。さらに、屋上やベランダはコンクリート素地のままで防水保護がされていないことを指摘された。家を保護する機能が低いため、「今後を考えると早めにメンテをした方が良い」と言われた。
Aさんは、「これから歳を取れば、もっと腰が重くなる。今のうちにやろう」と工事を依頼した。
外壁塗装やひび割れ・欠損の修繕、腐食した水道管の取り換え、洗濯干し場の設置なども含めると、かかる金額は約280万円で、工期は約1カ月(工事・金額/詳細)。
「見積もりに、どんな資材をどれぐらい使うか明記してあったのが良かった。工事内容にも金額にも納得して依頼した」と語る。
外部だけのメンテなので、Aさん家族は住みながらの工事となった。工事前、近所へあいさつ回りをした夫人(60)は、「私たちは我慢すればいいけど、近所への影響が心配。困りごとは、その都度、業者さんに対応してもらおうと思う」。

2017年3月10日、足場が組まれ、ついに工事が始まった!


Aさん宅の状態評価書


外壁の欠損
大きくはないが、あちこちに外壁の欠損が見られる。汚れも目立ち、ひび割れも見られた。

【外壁】
欠損・爆裂・浮き  □A □B √C □D
ひび割れ      □A √B □C □D
汚れ・かび・藻   □A √B □C □D
塗膜の劣化・変退色 □A √B □C □D
膨れ・はがれ    □A √B □C □D



シーリング材の劣化
サッシ周りのゴム部分に、ひび割れや汚れ、浮きが見られた

【シーリング材(サッシ周りのゴム部分)】
ひび割れ      □A √B □C □D
汚れ        □A √B □C □D
浮き        □A √B □C □D



屋上は塗装無し
屋上やベランダは防水塗装がされておらず、コンクリート素地がむき出しの状態

【屋上】
塗膜の劣化・変退色 ※保護塗装されていない
勾配不良      □A √B □C □D



軒天の劣化
軒天部分は汚れが目立ち、塗膜の浮きやはく離も見受けられた

【軒天】
汚れ・かび・藻   □A □B √C □D
膨れ・はがれ    □A □B √C □D



金属部位のさび
水道管は、著しい変退色やさびが発生していた

【金属部位(水道管など)】
さび        □A √B □C □D
塗膜の劣化・変退色 □A √B □C □D

A=異常なし B=不良部分が認められる(全体の10%未満)C=不良部分がやや多い(全体の10~30%) D=不良部分が多い(全体の30%以上)


足場組み、工事開始!

3月10日、家全体を覆うように足場が組まれた。「結構、本格的ですね」と夫人。業者には「足場を組むと、外から見えなくなるので空き巣に入られる恐れもある。いつも以上に戸締りに気を付けてください」と注意を促されたそう。
 




3月31日、塗装を終え足場が外れたAさん宅。夫人は「前は、しょっちゅう『塗装しませんか』のセールスが来たけど、もう来ないはず」と笑う

 

「肩の荷下りた」

足場が組まれ、窓の外を職人が行き来するようになった。Aさん家族は日中もカーテンを閉めて生活するようになった。夫人は「ちょっと暗いけど、一カ月ですから。中の家族、外の職人ともに気を使わないで済むように、ね」と割り切った様子。

洗濯は毎日室内干し、窓はビニールで養生されて開けられなくなった(写真参照)。「以前、姉の家が塗装工事をしたんです。いろいろ聞いていたので、覚悟はしていた。だから、空気が乾燥していて、窓を開けなくても平気な冬場に工事を依頼した」と語る。


工事中、網戸は外され窓やドアはビニールを張られ、開閉ができなくなった


心配だった、「サンジジャー(職人をもてなす3時のおやつ)」も、業者から事前に「必要ありません」と言われて「ホッとした。あげられる物があるときだけ、出すようにした」。

騒々しい日があったり、断水の日があったり、雨で作業が中止になったりしながらも工事は進んだ。「日々、キレイになっていくわが家を見るのは楽しかった」とAさん。

3月31日、いくつかの工事は残っているが足場が外れた。夫人は家を見上げて「ずっと『やらなきゃ』と思っていたので、やっと肩の荷が下りた」と、すっきりした笑顔で語った。


屋上にも防水塗装


シーリング材も交換


水道管は新品に指摘されていた屋上やベランダにも防水・遮熱の塗装をし、劣化の激しかったシーリング材や水道管も新しいものに交換した。夫人は「しょっちゅう漏れていた水道管も新しくなったし、光熱費の節約になるはず」と期待する。


工事・金額詳細は2017年4月14日発行の週刊タイムス住宅新聞20〜21面に掲載しています。


編集・取材/東江菜穂
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1632号・2017年4月14日紙面から掲載

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東江菜穂

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週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。

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