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2019年2月15日更新
投資を始めるなら、今!|岡田流!現代人のマネー術[11]
文・岡田有里(ファイナンシャルプランナー)
「つみたてNISA」「iDeco」 の始め時
「投資を始めるなら、今!」。これは私が日頃からお客さまに伝えているメッセージです。「株価は下落しているのに、今なの?」と聞かれても「いつでもスタートOKです」と私の答えは常に同じなのですが、なぜだと思われますか?
「景気が悪い時は投資に向かない」という世の中の常識に惑わされず、長期の積み立て運用を始めるタイミングは「いつでもOK」と話す根拠を、私がマネーセミナーで紹介する例題をもとに解説します。
下がっても増える?
まずはA子さんとB子さんが挑戦する運用ゲームのストーリーから「いつでもOK」のイメージを感じてみましょう。設定は次の通りです。
・予算:5万円
・期間:5カ月間(1~5月)
・2人とも同じ値動きの市場で購入
・投資信託を購入
・ルール:5カ月後に全てを売却して成績を比較
A子:1月に1口1万円で5万円分(5口)を一括購入し、5月31日まで保有=グラフ1。
B子:毎月1日に1万円分の投資信託を購入し、5カ月間コツコツと積み立てる=グラフ2。毎月の価格は市場に連動するので、1月は1万円の時に1口購入。2月は5千円の時に2口購入、3月は2千円時に5口、4月は千円時に10口、5月は5千円時に2口と5カ月かけて20口の投資信託を購入。
5カ月が経過した後、ルールに基づいて全てを売却した2人の結果を次のように計算しました。売却日の価格は1口あたり5千円でした。
A子:5口を売却(5千円×5口=2・5万円)、投資額5万円に対しマイナス2・5万円
B子:20口を売却(5千円×20口=10万円)、投資額5万円に対してプラス5万円
決め手は時間分散の買い付け
2人の勝敗の分かれ目は購入方法です。A子さんは全予算で一括購入に対し、B子さんは毎月コツコツと定額積み立てで購入しました。買うタイミングを分散すると相場のうねりを吸収し、高い所では少し買い付け、低い所で大量買い付けをする事で結果的に一括購入より口数を多く購入できる可能性が高まるのです。
ここで筆者の投資成績をご紹介しましょう。2018年1月~12月につみたてNISAで40万円を積み立てましたが、昨秋からの大幅下落で12月末報告書は36万円とマイナス9・9%で2018年を終えました。自分のお金が減るのは愉快ではありませんが、「下落時はたくさん買えるから大丈夫」とマイナス成績に惑わされず、今後も続けていく予定です。
ドルコスト平均法で積み立てる
B子さんのように一定金額で定期的に金融商品を買って積み立てて運用する方法をドルコスト平均法と呼びます。専門知識や投資経験がない人が「いつ始めてもOK」で長期間続けられる方法として、世界中の人が資産作りに役立てている王道の積み立て運用法です。
つみたてNISAやiDeCoはドルコスト平均法のメリットを生かした積み立て運用の仕組みです。税控除や非課税運用などメリットが多いので、「始めるなら、今!」を実行し、明るい未来のために自分の資産を育てる計画を立てましょう。
執筆者
岡田有里(ファイナンシャルプランナー)
おかだ・ゆり/ファイナンシャルアライアンス(株)沖縄支店所属。外資系企業に就職し海外勤務を経験し、2000年に沖縄へ。「私の未来に安心を!」をテーマに、女性のマネー知識の底上げをライフワークに活動。
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「岡田流!現代人のマネー術」
第1728号・2019年2月15日紙面から掲載