家は本当に早く建てるべき?|高橋さんのマネー講座[1]|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

マネープラン

FP

2016年4月22日更新

家は本当に早く建てるべき?|高橋さんのマネー講座[1]

住まいは自分の価値観や暮らしに合わせて、無理なく選び、取得したい。本コーナーでは約1300家族のライフプランニングを行ってきたファイナンシャルプランナーの高橋賢二郎さん(44)が家づくりの資金計画をアドバイス。見落としがちな視点や、一般的な予想とは違うケースなど、さまざまなシミュレーションを紹介してもらいます。初回はこれから2人目を予定している33歳Aさん家族の例から。

FP

タグから記事を探す

家造り 育休後にし 収支を安定


33歳・3人家族のAさん


Aさん家族は夫(33歳)、妻(32歳)、子(1歳)の3人家族。夫は会社員、妻は公務員で、2年後に2人目を産む想定をしています。預金はまだ200万円ぐらいしかないのですが、「家は早く建てた方がいい」という周りの人や、ハウスメーカーの話を聞いて家造りをかなり焦っていました。

家族構成が見えて、貯蓄や収入が安定してから考えるべきですよ、とお話ししたのですが、イメージが湧かないようだったので、実際にシミュレーションをしてみました。建物は総額3500万円、頭金100万円、住宅ローンは3400万円を想定しています(現在家賃7万円)。

グラフ①を見て下さい。1年後に家を建設した後にすぐ、預貯金が大きくマイナスになり、完全に赤字になっています。


原因は三つあります。

①妻が育休を取るため、収入が今より大きくダウン(年間300万円減)している。
かつ育休は2年取りたい意向があるで2年目は妻の収入がゼロ(年間500万円減)となり、さらにマイナスになっている。

②車(200万円)の買い替えが2年後と4年後に夫婦共に連続してくるため、大きな一時支出が発生している。

③住宅ローンの返済で年間205万円の返済が始まり、今の家賃(年間84万円)よりプラス121万円と大幅アップとなっている。

前述の三つが重なり大きく赤字になっていました。そこで、家造りを焦らず6年後(夫39歳)とし、妻が育休から復帰し、車の買い替えも終わり、収入が安定してから家を建てるケースをシミュレーションしてみました=グラフ②。




何と同じ金額の家を建てているのに、前半の大きな赤字はなくなり、その後の収支も安定しています! 重ねて言いますが、同じ金額の建物を建てていてもこうした差があります。決して早く建てることがいいわけではない、ことを理解し、Aさん家族はとても安心していました。

ここから言えるアドバイスは、

①家造りは家族構成(子どもの人数)が見えてきてから考えるのがおススメ!(子どもの人数で間取りも大きく変わります)

②妻が育休中の収入ダウンをしっかり想定すべし!(特に2年以上の休職の場合)

③車の買い替えなど大きな支出をあらかじめ考えておくべし!

特に若いご夫婦で家造りを焦っている方、決して慌ててはいけません。まずはしっかり頭金をためる事を目指してください!まずは、プロと相談するのもお勧めですよ!


◆Aさん家族の基本データ
・家族構成 夫 33歳 妻 32歳 子 1歳
 ※2年後2人目予定

・年収 夫 380万円(将来450万円)
    妻 540万円(将来780万円)

・建物 3500万円(頭金100万円)
・住宅ローン 3400万円(22年返済)
・生活費 約18万円
・こづかい 夫3万円/月 妻4万円/月
・子ども 県内大学への進学を想定
・車の買い替え 6回(夫婦3回ずつ)
 


高橋さんのマネー講座一覧

 




執筆者/たかはし・けんじろう
大阪大学卒業。三菱商事株式会社勤務後、米国留学先で出会った石垣島出身の妻と結婚、沖縄に移住。これまで約1300家族のライフプランニングを手掛けた実績を持つ。高橋FP事務所  098-943-0205

 
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞「高橋さんのマネー講座」第1581号・2016年4月22日紙面から掲載

FP

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2395

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る