インテリア
2025年2月28日更新
オーディオ&シアターのトレンド|高音質サブスクの登場やテレビの大型化&低価格化で 音響機器のみ導入テレビシアター増
音楽や映像配信のサブスクリプションの普及はホームシアターやオーディオ業界にも大きな影響を与えている。「シアター&オーディオデザイン」代表の當山寛人さんによると最近のトレンドは「テレビを活用したテレビシアター」だそう。

高音質サブスクの登場やテレビの大型化&低価格化で
音響機器のみ導入テレビシアター増
「だからこそ、ポイントを絞って導入する」のが最近の傾向だそう。トレンドは「テレビシアター」。プロジェクターやスクリーンは導入せず、「テレビを活用し、音響機器だけをそろえる人が増えている。それを後押ししているのがユーチューブ」と話す。音楽はもちろん、作業音やそしゃく音など『音を楽しむ』系の動画も数多く配信されていることから、「ユーチューブをいい音で楽しみたい、という相談が一番多い」
また、高音質の音楽配信サブスクリプションの普及も大きい。現在は、アップルミュージックやアマゾンミュージックなどが高音質(ハイレゾ)をウリにして提供している。昨年10月には高音質の音楽配信サブスク「Qobuz(コバズ)」がフランスから日本に上陸した。「オーディオユーザー待望のサブスク。従来のサブスクは主にスマホなどで聞くために配信されているが、コバズはオーディオ機器で聞くことも重視している。オーディオメーカーとの提携を積極的に進めていて、手持ちの機器で美しい音を楽しめる」と話す。
まずは2chから
オーディオ機器を導入する場合、まず必要なのはAVアンプ。「AVアンプはテレビやユーチューブ、動画・音楽サブスクなどの音を増幅し、適したスピーカーから流れるよう振り分ける機器。いわばオーディオの司令塔。価格は5万~10万円程度」だそう。
そしてスピーカー。スピーカーの数を「チャンネル(ch)」と表し、重低音を再生するウーファーは0.1chと表す。他の器機と違って複数必要な分、予算の配分や配置をしっかり考える必要がある。「最初は二つのスピーカー(2ch)からはじめて、必要に応じてその他のスピーカーをそろえていくことをすすめる」と當山さん。「費用は前方のスピーカーから掛ける。フロントスピーカーに重点を置き、センタースピーカーもなるべく同じメーカーでそろえて、サラウンドスピーカーは小型でも良い」。
さらに最近は「天井にもスピーカーを設置する物件が増えている。音が上下にも移動するので立体的で臨場感あふれる音を楽しめる。ただし、スピーカーを天井に埋め込む場合は、新築やリノベーションのタイミングが望ましい」。 下イラストはスピーカー7個、ウーファー1つ、天井スピーカー4つの7.1.4chのテレビシアター。アンプも加えて「価格は70万~100万円くらいでそろえられるが、機材のグレードによって価格は大きく変わる」と説明する。
テレビシアターの例

テレビを活用しながら音響機器を導入したテレビシアターの例。スピーカー七つにウーファー一つ、天井スピーカー四つの「7.1.4ch」。イラストではスピーカー床に直置きしているが、「フロントスピーカーやセンタースピーカーはテレビ台に納めたり、後方のサラウンドスピーカーは壁掛けにしたり(下写真)、天井に埋め込んだりするのが主流」と當山さん

スクリーン適さない家も
「大型テレビの価格が下がっていることもテレビシアターが増えている一因」と當山さん。スクリーンの方が大画面を楽しめるが、プロジェクターや遮光カーテンなどの設備も必要。
また家の造り上、テレビシアターを勧めるケースもあるそう。「天井がかなり高かったり、勾配天井だとスクリーンやプロジェクターの設置が難しい場合もある。不可能ではないが、かなりコストが掛かる」。
「シアター機材は日進月歩。機材選びや配置を検討する際は、ぜひプロに相談してほしい」と話した。
テレビとスクリーンの長短所
テレビ

メリット
◇解像度が高く、鮮明な映像
◇明るい部屋でも見られる
◇手軽
◇狭い部屋でも導入しやすい
デメリット
◇大型になると高価
◇暗いシーンになると周りの物や自分の顔が映り込む
スクリーン

メリット
◇大画面でも映り込みがない
◇映画館のような没入感がある
デメリット
◇部屋を暗くする必要がある
◇スクリーンとプロジェクターの間に距離が必要(下記参照)
スクリーン派にアドバイス
プロジェクターとの距離を考慮

やっぱりスクリーンで迫力ある映像を楽しみたいという人は「プロジェクターとの距離を考慮する必要がある」と當山さん。
例えば100㌅のスクリーンを設置する場合、一般的なプロジェクターのレンズとスクリーンの距離は3㍍ほど必要。この際、忘れがちなのがプロジェクター本体の奥行き。40㌢の奥行きがある場合は3㍍40㌢の距離が必要ということになる。
また、テレビの前にスクリーンを設置する「2フェイシアター」(下イラスト)の場合は、テレビとスクリーンとの間の空間も計算に入れなければならない。テレビとスクリーンの間が約30㌢の場合は、3㍍+40㌢+30㌢=3㍍70㌢の広さが必要。


とうやま・ひろと/那覇市銘苅で「シアター&オーディオデザイン」を営む。ホームシアターやオーディオ導入のプロである「インストーラ−」として40年以上。県内で手掛けたホームシアターは700件以上。好きな映画はレオン、ブレードランナー、グラディエーター。AV家電アドバイザー。
◆シアター&オーディオデザイン 那覇市銘苅323−1
電話=098・943・9178
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毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2043号・2025年2月28日紙面から掲載
この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。