相続
2025年6月20日更新
相続サイクルで全体の最適図る[相続計画始めよう!地主・家主の生前対策⑮]
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの代表理事・亀島淳一氏がもめないための生前対策を紹介。今回は5月30日号の当連載番外編で紹介した「相続サイクル」における四つのゾーンの目的や計画、対策を説明する。

相続サイクルで全体の最適図る
家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をしている(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク。60を超える士業や企業が名を連ねる。当連載では、同ネットワークの代表理事・亀島淳一氏がもめないための生前対策を紹介。今回は5月30日号の当連載番外編で紹介した「相続サイクル」における四つのゾーンの目的や計画、対策を説明する。まず資産形成し、運用
まず、相続が起こった時点から始まる「資産形成」ゾーン。相続人とその家族、一般的には子や孫の平均余命までの収支を可視化して、将来、お金で困らないためのライフプランを立てます。子育てや老後資金といった将来の金銭的不安を払拭するための計画で、土地活用や収益不動産の取得、保険への加入があります。主に、アパートメーカー、投資用不動産会社、証券会社、生命保険会社などからのアプローチが多くなります。
次の「資産運用」は、資産価値(収益)を下げないようにするため、資産の運用状況を見直していきます。例えば、収益物件の空室対策や家賃改定、建物の修繕計画、財産管理(ポートフォリオ最適化)など。不動産管理会社や証券会社、リフォーム会社が進めている内容です。

資産形成
◆目的 子や孫をお金で困らせない
◆計画 相続人の平均余命までのマネープランを立て、老後資金の将来不安を減らす
対策/アパート建築や収益不動産の取得、株式投資や債権、養老保険、年金保険、
外貨建保険、変額保険など
◆目的 資産価値(収益)を下げない
◆計画 収益性や流動性を見直し、資産価値を下げない
対策/空き室対策・家賃値上げなどの収益管理、修繕計画などの建物管理、
ポートフォリオ最適化などの財産管理、リフォーム、外壁塗装など
資産保持
◆目的 相続で優良財産を減らさない
◆計画 優良財産を守るための節税・納税資金準備
対策/贈与・養子縁組、法人化・納税資金対策、アパート建築(債務控除)、
不動産小口商品、終身保険
◆目的 相続で家族をもめさせない
◆計画 相続人の将来を見据えた財産の分け方
対策/相続税計算、身元保証、遺言書、家族信託、死後事務委任契約、後見制度、
死因贈与、遺贈寄付など
資産を守り、そして承継
そして「資産保持」。このゾーンでは相続税で優良財産を減らさないための対策として、納税対策や節税を進めます。
なぜ、優良財産が減るのか。相続税は、原則現金での一括払いで、相続が起こったことを知ってから10カ月以内に納付しなければいけません。現金が足りないとなると、不動産を手放して現金を確保することになりますが、その際、買い手が見つかりやすい不動産というのは立地、住環境等が良い「優良財産」。対策をしないままだと優良財産から減ってしまうわけです。
そうならないために、その前のゾーン「資産運用」で見直した財産の中でも、収益性・流動性の低い、いわゆる〝負動産〟を整理し、納税資金の準備を行いながら節税額を決め、節税していきます。生前贈与や養子縁組、法人化、アパート建築、終身保険といった対策について、税理士、アパートメーカー、生命保険会社などが主な窓口です。
次のゾーンは「資産承継」。ここは相続で家族をもめさせないため、相続人の将来(お金の不安解消)、納税資金(現預金)、相続税節税(債務の分け方)を見据えた財産の分け方を策定し、実行します。遺言書や家族信託、相続税計算、死後事務委任といった主に士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士)の分野です。
各ゾーン単体での対策は「部分最適」。一方、四つのゾーンを網羅する相続サイクルは「全体最適」の考え。全体を見ることで将来の子や孫の生活、自分の老後の暮らしが明確になります。
そして「資産保持」。このゾーンでは相続税で優良財産を減らさないための対策として、納税対策や節税を進めます。
なぜ、優良財産が減るのか。相続税は、原則現金での一括払いで、相続が起こったことを知ってから10カ月以内に納付しなければいけません。現金が足りないとなると、不動産を手放して現金を確保することになりますが、その際、買い手が見つかりやすい不動産というのは立地、住環境等が良い「優良財産」。対策をしないままだと優良財産から減ってしまうわけです。
そうならないために、その前のゾーン「資産運用」で見直した財産の中でも、収益性・流動性の低い、いわゆる〝負動産〟を整理し、納税資金の準備を行いながら節税額を決め、節税していきます。生前贈与や養子縁組、法人化、アパート建築、終身保険といった対策について、税理士、アパートメーカー、生命保険会社などが主な窓口です。
次のゾーンは「資産承継」。ここは相続で家族をもめさせないため、相続人の将来(お金の不安解消)、納税資金(現預金)、相続税節税(債務の分け方)を見据えた財産の分け方を策定し、実行します。遺言書や家族信託、相続税計算、死後事務委任といった主に士業(税理士、弁護士、司法書士、行政書士)の分野です。
各ゾーン単体での対策は「部分最適」。一方、四つのゾーンを網羅する相続サイクルは「全体最適」の考え。全体を見ることで将来の子や孫の生活、自分の老後の暮らしが明確になります。
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク

【執筆】
(一社)全国幸せ相続計画ネットワーク
共同代表・亀島淳一
士業(税理士、司法書士、弁護士)を中心に全国の相続の専門家が集う組織。 「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及・啓蒙活動を行う。
◆6月29日(日)9時30分~「アパートオーナー親子で学ぶ不動産経営術」セミナー&個別相談を開催。会場はシナジールーム(中城村南上原1007‐4階)。完全予約制。
相続相談窓口=050・1809・0106
(受付は平日午前9時30分〜午後5時)
https://souzoku-planning.org/
↓↓↓本紙5月30日号で掲載した相続サイクルの記事は、週刊タイムス住宅新聞のホームページ(下記URL)から読める。
https://sumai.okinawatimes.co.jp/commons/detail/23532
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2059号・2025年06月20日掲載
第2059号・2025年06月20日掲載