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2017年12月29日更新

課題クリアで住みやすさ実現|(株)casa studio

「周りがマンションや2階建ての家屋に囲まれた土地だったら、どんな家を建てるか?」。そんな問いかけから、家づくりが始まった。土地にある課題を解決するため、設計は(株)casa studio、施工は喜納建設が担当し、共同で家づくりを行った。それぞれの専門的な目線から、コストのかけどころを精査しながら、暮らしやすい家を完成させた。



三方囲まれた土地

うるま市に建つ壁式鉄筋コンクリート造の平屋。表通りから20メートルほど奥まっており、三方をマンションや住居に囲まれている。喜納建設の喜納敏郎専務は「3年ほど前、地主からの相談を受け、設計段階から設計士と施工業者が一緒に進めることになった」と振り返る。

約100坪の敷地面積、三方は囲まれていたものの南方向が開けていた。設計を担当した(株)casa studioの奥濱司代表は「周囲からの視線が気にならない南側にリビングを据えて開口部を設けること」からこの場所での暮らしやすさを追求し始めた。


光と風を取り込む

リビングルームから庭を望む窓は、はめ込み式のフィックス窓を組み合わせて一面をガラスにした。隣の畑地に抜ける景色を借景し、三方を囲まれた場所であることを忘れてしまうほど居心地良く仕上げた。

柔らかな光を通すすりガラス製の引き戸から玄関に入り、正面には坪庭を配した。日光を浴びながら風にゆらぐ植栽が見え、空間以上の開放感と明るさを印象付ける。

坪庭はもう一つ、敷地奥の角地にも。浴室の窓から植栽などを楽しめるようにした。光と風だけを通すので、防犯面にも配慮している。



玄関正面の坪庭。洋間との間に設けられ、洋間側には腰高の窓を設置し、周りからの視線を気にすることなく、光と風を室内に取り込んでいる/写真左。浴室脇の坪庭。安心して窓を開けることができる/写真右。


ダイニングとキッチンとの間の壁はタイルを使用。ダイニングにはハイサイドライトからの光が入る/写真左。洗面室入り口横の収納。内側に電源があり、バッテリー式の掃除機や工具の充電ができる/写真右。


ロボット掃除機の格納スペース/写真中央。収納の一番下の段にはロボット掃除機専用の電源を配置。進化する家電に合わせ、家の機能も変化をつけた/写真右。


住む人が決める

住む人の考え方や暮らし方で、家に必要な機能は変わる。建売住宅を買った人が「本当はこうだったら良かったな」などと思うようなことを避けるために、構造的な面で柔軟性を持たせた。例えば、駐車場には電気自動車用の充電ポットに必要な配線を施し、洗濯機置き場には衣類乾燥機用のガス栓を配している。オール電化にも対応可能だ。建築するときに基礎工事を済ませておけば、入居後でも大規模な改修工事なども必要ない。

そして室内は白を基調に、落ち着いた雰囲気に仕上げた。壁はクロスとタイルを組み合わせて変化をつけた。奥濱代表は「建売住宅なので、住む人の持ち物や好みが生かせるように」と全体的に色は控え目にした。


構造を高機能に

周りの土地よりも低いため、熱や湿気に対する対策が必要だった。夏場に建物にこもる熱をどう逃し、どう防ぐか。また湿気がこもらないようにするには、構造的な工夫が必要だった。家屋の周囲に通路を設け、空気の流れを確保した。天井部分には通常よりも厚い50ミリの断熱材を入れ、屋根には遮熱と防水加工を施した。また床下は40センチ高にし、下からの湿気の影響を極力小さくなるようにした。一見、不利に思われる条件を構造的に機能を高めて回避し、実用的な空間に仕上げた。

設計と施工が協働したことにより、図面をそのまま形にするのではなく、建築が進む段階でも設計士と施工業者に密なコミュニケーションが生まれた。二人は「建材を変更したり、部分的に設計を修正したり柔軟な対応ができた」と話す。「それぞれの立場から分かる専門性を生かした。細かな資材の選択も必要な耐久性などから割り出し、適切なものを選ぶ」。それがコストを下げることにもつながった。


広々としたリビング・ダイニングの南向きは一面ガラス。壁に作り付けられた大容量の収納も魅力的


【設計・施工に関する問い合わせ】

設計
(株)casa studio
沖縄県糸満市西崎町3-82
098-894-7818


施工
総合建設業 喜納建設
沖縄市城前町6-3
098-937-5587
 


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1667号・2017年12月15日紙面から掲載

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「自由に生きたい」。そのためには健康や豊かさについての情報を知ることから始まると思っています。だからこそこのサイトでの情報発信して、お伝えしていきたいと思っています。アメリカ南部をこよなく愛し、ゴスペルを歌うお弁当男子。あ、基本はハチャメチャな感じです。

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