水辺を感じる色や明るく淡いトーンで|色の効果で体感温度を下げる|家と心理㉖|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

特集・企画

2024年5月31日更新

水辺を感じる色や明るく淡いトーンで|色の効果で体感温度を下げる|家と心理㉖

空間デザイン心理士®で、一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが空間を心理的に解析。今回は、ものの変動が多い新年度に知っておきたい「色と体感温度の関係」を解説。色の心理的作用を利用して、冷房器具に頼らず体感温度を下げる技を紹介します。

特集・企画

タグから記事を探す


 

水辺を感じる色や明るく淡いトーンで
色の効果で体感温度を下げる


梅雨に突入し、そろそろ本格的な夏がやってきます。今年も厳しい暑さになりそうですね。冷房器具は暑さ対策に必須ですが、色の効果も暑さ対策に応用できます。今回は、体感温度を下げる部屋づくりを紹介します。
 

 寒色と暖色とは 
涼しさを感じさせる「寒色」の代表・青色の部屋と、「暖色」の代表・赤色の部屋。同じ室温でも青い部屋にいる方が涼しく感じられ、体感温度が2~3度変わったという実験結果もある


色の効果でマイナス3度

体感温度とは、実際の気温ではなく、感覚として感じる温度のことです。色には、その体感温度を変える力があります。視覚や心理に大きく影響し、暑さへの感じ方さえも変えてしまうのです。

例えば、あなたが真っ赤な部屋と真っ青な部屋にいたとします。同じ室温でも、青い部屋にいるほうが涼しく感じられるはずです。実際に、体感温度が2~3度変わったという実験結果もあります。インテリアの色を変えるだけで室内が28度でも25度に感じられるなら、やらない手はないですよね!


涼しげに見える色とは

◆水辺を感じる色
寒色とは、寒そう・涼しそうに感じる色のこと。水色・青・青緑が代表的な色です。
特に海や川といった水辺を連想させる色には、人は本能的に涼しさを感じます。

ちなみに暖色は暖かそうに感じる色のことで、赤・オレンジ・黄が代表的な色です。

また、寒色でも暖色でもない中性色というのもあります。黄緑・緑・紫やモノトーン(白黒グレー)などです。中性色は体感温度へ影響しないことが分かっています。


◆明るく淡いトーン
ほかに効果的なポイントは、明るく淡いトーンの色を選ぶことです。トーンとは、色の明るさと鮮やかさを掛け合わせた色調のことです。

暗い色や・鮮やかな色より、白っぽい明るい色の方が暑さを感じさせません。暗い色ほど重たく・硬く見え、明るいほど軽やか・ソフトに見えます。また、鮮やかな色ほど色の作用が強くなり、くどく感じてしまいます。暖色系の色を涼しく使いたいなら、明るく淡いトーンを選びましょう。
 

ナチュラルな部屋


 涼しく感じられる部屋 


カーテンやクッションカバー、ラグ、アート、照明カバーなどの色を、ホワイトをベースにパステルブルー、ミントグリーンでまとめた。左のナチュラルな部屋と置いてある家具や植栽などは変わらないが、色を変えただけで涼しさが感じられる空間になった。色の効果は大きい

 
組み合わせ方のこつ
涼しく感じられる色が分かったところで、そのコーディネート術を説明します。

◆ベースは明るめな無彩色
基本となるベースカラーとしておすすめなのは、「ニュートラルカラー(無彩色)」の中でも明るめな白やアイボリー、ライトグレーなどです。これらの色は、視覚的に涼しさを感じさせてくれる上、空間を広く見せる効果もあります。特に白は光を反射し、部屋全体を明るくして爽やかさを演出してくれるため、夏に最適です。

ホワイトを使うときには注意点があります。白は紫外線を通しやすいため、カーテンを白にする場合はUVカット機能があるものを選びましょう。また、純白に近いホワイトを多用すると空間に緊張感が出てしまいます。植物などを取り入れて和らげましょう。

アイボリーやライトグレーは温かみがありながらも涼しげな空間を作り出します。最近は、グレージュカラー(グレーとベージュを混ぜたようなカラー)も人気です。


◆アクセントに青や緑を
次に、アクセントカラー。涼しげな空間づくりに効果的なのは、ブルー系やグリーン系の色です。特にパステルブルーやターコイズブルーは、爽やかさをプラスし、落ち着いた雰囲気を作り出します。
グリーンは自然を感じさせる色で、リラックス効果もあります。グリーンの中でもミントグリーンやライムグリーンなどの明るいトーンを選ぶと、清涼感が一層引き立ちます。

例えば、白をベースにしてブルーやグリーンをアクセントに使うと、視覚的なコントラストが生まれ、爽やかで洗練された印象になります。カーテンやクッション、ラグなどのファブリックアイテム(布製品)にこれらのアクセントカラーを取り入れると、簡単に季節感を演出できます。

色の組み合わせを工夫して、涼しげで夏らしいインテリアを楽しんでくださいね!
 
    ◆  
 

空間デザイン心理士Ⓡ まえうみのワンポイント
素材や小物使いでも涼演出
  
通気性や透過性のある素材(リネンやコットン、ガラス)なども涼しさを感じさせる。それと寒色を組み合わせることで、夏らしく爽やかな空間を演出できる
 
素材も涼しさを感じさせる要素の一つ。リネンやコットンなどの自然素材は、見た目だけでなくさわり心地にも涼を感じます。これらの素材を使用したファブリックアイテム(布製品)は、通気性が良く、夏の暑さを軽減してくれます。ブルーやグリーン系の色と組み合わせることで、さらに涼しげな雰囲気を作り出すことができます。

また、小物使いでも涼を演出できます。涼しげな色の花瓶やテーブルランナー、アートなどを取り入れるのもオススメです。また、透明感のあるブルーのガラスボトルにグリーンの観葉植物を飾ると、見た目にも涼しげで、癒やしの空間を演出できますよ。

 
まえうみさきこ
[文・イラスト]
まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹で暮らす。http://ielie.net


↓広告をクリックすると「ielie(イエリエ)」のHPに移動します


これまでの記事は、こちらから。

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2004号・2024年05月31日紙面から掲載

特集・企画

タグから記事を探す

この連載の記事

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2195

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る