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2019年11月22日

沖縄の建築に新たな可能性期待

追悼 古市徹雄氏
小倉暢之(琉球大学名誉教授、沖縄建築賞 副審査員長)

建築家、古市徹雄先生が亡くなられた。まだ71歳であった。先生は、国内はもとより海外でも活躍された国際派であり、アジアの建築には殊の外造詣が深かった。早稲田大学大学院を修了後、丹下健三都市建築設計研究所で東京都庁やアフリカ、中近東などの都市計画で活躍後、古市徹雄都市建築研究所を設立、公共建築から民間建築までさまざまな優れた作品を発表された。後年は千葉工業大学教授として若い世代の育成に努め、欧米の大学でも教鞭(きょうべん)をとられるなど、常にグローバルな視点から建築を捉えておられた。また、日本建築家協会(JIA)の理事として現代建築のあり方について積極的に発信され、最近では新国立競技場の最初の当選案をめぐってJIA機関誌編集長として活躍されたのも記憶に新しい。

沖縄とはJIA沖縄支部の顧問としてさまざまな交流をされ、また、沖縄建築賞の審査では初回から本年度の5回目まで審査員長を務められた功績は大きい。というのも、グローバル化の進展で日本国内や世界中に同じような建築が建てられる現状を憂い、地域性を大切にした現代の建築のあり方に強い関心を持たれていたからである。2回目からは体調を崩されて車いすでの現地審査となり、4回目からは事務所とのスカイプ通信での審査会となったが、審査員長として最後まで沖縄建築の育成にかけられた意気込みには敬服の他はない。それはやはり沖縄という地域性に富む環境で創られる建築に新たな時代の新たな可能性を期待されていたからであろう。

先生のご冥福を祈ります。


▲2017年、第3回建築賞で現地審査に訪れた古市氏(右手前)と小倉氏(同左)

沖縄建築賞の審査員長を第1回~5回まで務めた建築家の古市徹雄氏が11月11日に死去した。71歳。沖縄建築賞副審査員長の小倉暢之氏に、古市氏の功績や人柄について寄せてもらった。

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