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2019年10月24日

[情報]OIST蒸暑地サステナブルアーキテクチャー グッドデザイン賞ベスト100入り

10月2日に発表されたグッドデザイン賞のベスト100に、学校法人沖縄科学技術大学院大学学園(OIST)内で取り組んでいる「蒸暑地サステナブルアーキテクチャー」が入賞した。

この取り組みは、(株)ミサワホーム総合研究所、OIST、(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)、ミサワホーム(株)の4者が産学官連携で取り組む実証実験。高温多湿、台風の常襲といった厳しい自然環境のもと、再生可能エネルギーを利用した自立性の高い快適な住まいと地域内・住宅間のエネルギー補完システムの構築を目指す。OISTスタッフサイエンティストの清水優さんは「従来のインフラに頼らないコミュニティーの在り方を模索した」と話す。



ミサワ総研とOISTが手掛ける実験棟=上写真=には、太陽光や風力を利用したエネルギーシステムと、太陽熱などを利用した除湿・冷房システムを導入。設計では深い軒で直射日光を遮るなど沖縄の伝統住宅の手法を取り入れ、既存インフラに頼らない快適な住まいを検証。同実験棟で発電した電力は交換バッテリーに蓄電され、過不足があれば他地域にあるバッテリーを車で運んで交換する、電気の無配線供給を取り入れている。

電気供給の仕組みはソニーCSLとOISTが共同研究するもので、無配線供給のほか、OISTキャンパス内の教員宿舎19棟を自営線でつなぎ、各棟で太陽光発電した電気を隣近所同士で過不足分を融通し合うインフラ設備を構築した。ソニーCSLの徳田佳一さんは、「隣近所でしょうゆを貸し借りするイメージで電気を融通する。インフラ未整備、巨大なインフラの維持が困難な地域、つまり過疎地や離島、発展途上国などでの活用が期待される」と話した。

これら一連の取り組みについて、グッドデザイン賞では「環境を選ばずに暮らしを選択できる。オフグリッド住宅というプロダクトのように見えるが、電気を隣近所、他地域で融通し合うことで有機的なコミュニティー形成につながるだろう」と評価され、ベスト100に選ばれた。

受賞について、ミサワ総研取締役の太田勇さんは「受賞を契機に共同研究をさらに発展させ、社会に普及させていく取り組みを進めていきたい」と話した。


実験棟内。壁や天井の内部に冷水配管を通して室内全体の温度を下げる冷房システムが導入されている


電気供給インフラの模式図。まとまった住宅地は自営線でつなぎ電気を分け合う。離れた地域へは車でバッテリーを運ぶ

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