2017年3月24日
【情報】「近現代建築の固有性と普遍性」テーマにシンポ|文化財としての重要性明確に
情 報
「近現代建築の固有性と普遍性」テーマにシンポ
文化財としての重要性明確に
世界、アジアから日本と沖縄の近現代建築を考える講演会「近代建築の固有性と普遍性」が2017年3月5日、県立博物館・美術館で開催された。
世界のモダン・ムーブメントの記録と保全を推進するドコモモインターナショナル会長、アナ・トストエス氏が「世界のモダンムーブメントの流れ」と題し基調講演。自身が専門とするアフリカの旧ポルトガル領の近現代建築を中心に、日本、沖縄の建築にも触れ、「モダンムーブメントの中心とされるヨーロッパを介さずとも、世界各地には各々の近現代建築がある」と説明。とりわけ重要なテーマの一つである環境に沿った建築「トロピカルアーキテクチャー」として名護市庁舎や今帰仁村役場に注目。図面を残す重要性や、使い続けることが保全につながることに加え、「都市は更新と開発を重ね発展するが、どこに文化財があるかを認識しなければ行き先を見失う」と指摘した。
続いてドコモモジャパン副代表の山名義之氏が「アジアのモダン・ムーブメント」と題し講演。国立西洋美術館をはじめとするコルビジェの世界遺産登録認定への道のりを振り返り、「建物を歴史の中でどう位置付けるかを考え活動してきた」と話した。また東京大学教授の村松伸氏は、独自に選定する「なかなか遺産」の取り組みや東南アジアの近現代建築に関する研究プロジェクトを通し、社会的な問題に建築からどうアプローチできるかが大事」と訴えた。
会場からは那覇市民会館の保存活動と絡めて質問が飛び=左=3氏は「なぜ重要なのか、建物の文化的意義を明確にすることが大切」と話した。
世界のモダン・ムーブメントについて語るアナ氏
山名氏(右)と村松氏
週刊タイムス住宅新聞「リビング通信」
2017年3月24日掲載