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2017年3月3日

【寄 稿】近現代建築の固有性と普遍性|村松 伸(建築史研究家)

世界、アジアから日本と沖縄の近現代建築を考えるイベントが3月5日(日)、県立博物館・美術館で開催される。登壇者の一人、村松伸さんに、他2人の登壇者紹介と講話のテーマ、イベントの意義を寄せてもらった。


1970年竣工。昨年、無期限休館となった那覇市民会館

 

3月5日 県博で講演&パネルディスカッション
不確実性のただ中にあって流動する世界に対して、建築、とりわけ、過去に建てられた建築は、どのように役立つのだろうか。本イベントでは、異なる立場の三者が、歴史と文化が混交する沖縄という地域で、ここ100年の間に建てられた近現代建築の可能性を探ります。世界のモダン・ムーブメントの記録と保全を推進するドコモモインターナショナル会長アナ・トストエス氏は、ポルトガルというヨーロッパの周縁に生まれ、育ち、また、アフリカの旧ポルトガル領の近現代建築の研究をしてきました。彼女は、桂離宮、広島ピースセンター、伊勢など、日本のモダン・ムーブメントにかかわる建築に関心をもちつつ、日本建築の持つ豊かさ、多様性を知りたいと沖縄訪問を希望し、その成果を話題にします。

山名善之氏は、建築家として昨年のヴェニスビエンナーレの日本館の企画で高く評価されると同時に、ル・コルビュジエの世界遺産への認定に大きく貢献した国際的立役者です。今回、その推進活動をもとに、ル・コルビュジエと日本、そしてモダン・ムーブメントは何かについて独創性高いお話をします。ドコモモ・ジャパンの副代表でもある山名氏は、沖縄のモダン・ムーブメントにも高い関心をもち、旧海軍病院などについて、その価値を展開します。
私、村松は、東アジアを中心にここ200年ほどの建築の歴史を統合的に研究してきた建築史研究者です。一昨年度から開始された東南アジアの近現代建築のリスト化、歴史叙述、保全の5年計画の研究プロジェクト「mASEANa Project」を中心のひとりとして推進しています。本年度は、ベトナム近現代建築の調査研究を実施し、その成果をもとに沖縄の近現代建築を位置づけます。さらに、近現代建築が次々と壊されていく現状に対する中立的な見方、どのように行動すべきかなども提示します。
最後に、沖縄研究文化の方向性を考えるパネル・ディスカッションを行います。ぜひご参加ください。

むらまつ・しん
1954年生まれ。東京大学建築学部卒業。建築史家。東京大学生産技術研究所教授。


◆近現代建築の固有性と普遍性
日時:3月5日(日)午後3時~5時50分
午後2時30分開場
会場:沖縄県立博物館・美術館
演者:アナ・トストエス氏(ドコモモインターナショナル会長) 山名善之氏(東京理科大学教授)
村松伸氏(東京大学教授)
入場:無料
定員:30人
問い合わせ:artlink.okinawa@gmail.com(NPO法人アートリンク)

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