2025年12月12日
[情報]紙管・木の持続的な建築 語る|世界的建築家・坂茂さんが登壇

毎年11月の「公共建築月間」に合わせて、(一社)公共建築協会らはさまざまなイベントを開催。同月28日には世界的建築家・坂茂さん=写真=を講師に迎え、「作品づくりと社会貢献の両立を目指して」をテーマにした講演会を那覇市の県立博物館・美術館で開いた。
建築家の職能について、坂さんは「特権階級のクライアントの仕事ばかりを手がけ、本来すべき『社会に役立つ』仕事ができていないのではないか」と問題意識を述べた。世界中で設計した建築物だけではなく、紛争・災害時に手がけた仮設建築物の設計プロセスも紹介した。
坂さんは1994年のルワンダ紛争難民支援で、紙管のシェルターを開発。組立・解体などが簡単な上、リサイクルすることもできる。有事の際、住居の大量供給に伴う森林破壊を食い止める手立てにもつながる。「早急に対応できるよう、現地で入手しやすい材料で建築することを心がけている」。紙管は自身の別荘で構造体に使い、その強度・安全性などを検証。国土交通大臣認定を受けた。
95年の阪神・淡路大震災では紙管と木材などでパーテーション付きの避難スペースを量産したり、中大規模の教会を建築したりした。紙管などは避難所の標準装備として内閣府から認められ、備蓄されるようになった。ほかにも、2011年の東日本大震災、24年の能登半島地震、ウクライナ戦争など国内外で数多くの支援を行っている。最終的な復興は地場の建設事業者が行うべきとし、「地域の伝統的な材を再利用して、景観保全も大切にしてほしい」と語った。
坂さんは今年、米建築家協会(AIA)が優れた建築家に贈る「AIAゴールドメダル」を受賞した。建築の理論や実践に永続的な影響を与えた個人に贈られ、日本人建築家としては4人目の受賞者となった。



