2024年2月9日
[情報](一社)伝統建築防災協会が設立|初代理事長に有岡氏

散水後、スプリンクラーの仕組みについて説明する有岡理事長

約80個のスプリンクラーを管理している制御盤
重要文化財に指定されている建造物などを火災から守ることを目的とした「一般社団法人伝統建築防災協会」の設立総会が2日、北中城村の中村家住宅で開かれ、初代理事長に有岡哲司氏が就任した。
スプリンクラーの施工などを手がける有岡理事長は「人命の安全はもちろん、迅速な初期消火が伝統的な建造物の保全にもつながる。後世に歴史的建造物を残していけるよう、消火設備の重要性を伝えていきたい」と抱負を述べた。総会後には中村家住宅の馬小屋に設置したスプリンクラーから散水を行い、仕組みなどついて解説した。
歴史的建造物にスプリンクラーが導入されない背景として、消防法で設置が義務化されていないことや、保存する際に消火設備まで予算が割かれないことなどがあるという。有岡理事長は、首里城の焼失がきっかけとなり、同協会設立前から文化財にスプリンクラーを設置することに注力。3年前、中村家住宅に約80個のスプリンクラーを設置した。
スプリンクラーは水道連結型のものを採用している。火災発生時だけ水道管からスプリンクラーの配管に水が通り、初期消火する仕組みだ。「通常時、管内は空っぽなので、水漏れで文化財を傷める心配はない。追加で貯水タンクを設置する必要がないなどコスト削減にもつながる」。スプリンクラーの制御盤はバッテリーが内蔵されているため、停電時でもスプリンクラーは作動する。
久米島町の上江洲家住宅や座間味村の高良家住宅などにも設置されている。