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2017年6月23日

【講演会】今本教授がRC造建築物の修復に提案|リビング通信

中性化しても水防いで鉄筋保護


建築素材研究者の今本啓一東京理科大学教授による講演会「鉄筋コンクリート(RC)造建築物の修復に向けた材料学的課題」(主催・県建築士会)が2017年6月18日、県立博物館・美術館で開かれた。
築50年の国立西洋美術館を調査した例では、内部のアルカリが失われ酸性に傾く「中性化」が進行するコンクリートの表面に、水をはじく含浸材を塗ることで、中性化による鉄筋腐食の阻止を図った事例を紹介。一般的に中性化が進むと鉄筋は腐食するが、屋内の乾燥した部分については、腐食がみられなかったことに着目した。色味や光沢など、外観を変えずに改修できることも確認した。
長崎の軍艦島の例では、塩分量が多くても、屋内の乾燥している部分の鉄筋は腐食していないことを説明。今本教授は「コンクリート内に水分が浸入しないようにすれば、劣化の素地があっても、鉄筋の腐食を抑制できる」と話し、水の影響を考慮した保存や改修を訴えた。
前日に視察した那覇市民会館にも触れ、海砂由来の素材であることについて、「塩分を排除するのではなく、水分の浸入を制御しながら、共存していく手法の模索を」と話した。
そのほか同大学の山名善之教授とのスペシャルトークも行われた。今本教授は 「沖縄にはRC造建築物がたくさんある。新しい修復の工法などを発信していってほしい」と期待を込めた。


RC造建築物の修復について話す今本教授


日本や世界のコンクリートについて意見を交わす今本教授(左)と山名教授
 


週刊タイムス住宅新聞 リビング通信
第1642号(2017年6月23日発行)

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