2016年12月2日
【情 報】沖大が青木氏・真喜志氏講師に講座
建築を「生かす」「読み取る力」強さに
沖縄大学地域研究所は11月26日(土)、東京在住の建築家・青木淳氏と、沖縄の建築家・真喜志好一氏を講師に、「建築の強さとは何か―沖縄から、東京から」と題した第542回沖縄大学土曜教養講座を同大同窓会館で開催した。
前半は各氏が講話。青木氏は新宿歌舞伎町の「片隅」で繰り広げられたアート活動や自身が手掛けた街中の体育館、橋を描いた安藤広重の浮世絵などを例に挙げながら「強い建築とは、そこから周辺の街全体を体験できる場。建築とは物でなく、秩序立てて街を体験することができるその秩序」と持論を展開。真喜志氏は、「地形に従い、大地のほころびを繕う造形」として、中庭をテーマに手掛けたキリスト教短期大学やシュガーホール、「物思う空間」がテーマの佐喜眞美術館について説明。併せて辺野古の基地問題に触れ「造らせないことも建築だ」と訴えた。
その後の対談では広場と民主主義の関係に触れ、青木氏は「広場というと公的だが、何かが自発的に生まれる原っぱは魅力的」と話し、真喜志氏は「建築に広場的機能を」と呼び掛けた。
後半は会場との質疑応答も実施。「建築における変わらない軸は?」との問いに真喜志氏は久茂地にあったこども博物館を話題に挙げ、「用途は変わっても建物が残れば歴史を語れる。建てることでなく生かそうとする気持ちこそが建築の強さ」と返答。青木氏は「建築はかわりゆく生き物。手を加える際、ある種の質を保てるかは使い手の読み取る力にもよる。それを感じさせることができるのも強さだ」と話した。