2025年3月28日
[情報]世界的建築家・妹島和世さん講演|その地に足がついた建築を

妹島和世さん(前列中央)の講演を聴こうと、JIA沖縄支部長の伊良波さん(前列左から5人目)はじめ、数多くの県内の建築関係者らが訪れた
(公社)日本建築家協会(JIA)沖縄支部主催の建築文化講演会が3月21日、那覇市の琉球新報ホールで開かれ、世界的建築家・妹島和世さんが講演した。妹島さんは「環境と建築」をテーマに、手がけた大規模な建築物を中心に自身の設計指針を説明。「例えば、美術館ならばこうなるべきという『かたち』はなく、そこの場所の地に足がつくような建物を造れないか。事務所を構えてから約40年ずっと考えてきた」と話した。
代表作の一つである金沢21世紀美術館では、街からの人の流れと四方に抜ける視線の動きを意識し、「敷地周辺の環境(外)と美術館内がどのように関係を持たせられるか模索した」と妹島さん。円形になっている同美術館は外側を透明度の高いガラスで360度囲んだほか、四方から入場できる。また、スイス連邦工科大学内に計画したROLEXラーニングセンターでは波打つように床の高さを所々上げ、「丘のような高低差をつくり出して、壁で仕切ることなく緩やかに外と内をつなげた」。ほかにも国内外の事例を解説した。
妹島さんは「建築は固定された不動のものというより、使う人々によって常に更新される風景。その空間に人々がおのずと関わるよう、外と内の関係を考えていきたい」と締めくくった。