2025年1月24日
[情報]県が耐震セミナー開催|熊本地震や能登半島地震から学ぶ

耐震セミナーに登壇した(左から)黒木氏、上原氏、中島氏
沖縄県は1月16日、耐震セミナー「能登半島・熊本地震の報告とRC(鉄筋コンクリート)造の耐震診断について」を那覇市で開いた。
大分大学の黒木正幸教授は、能登半島地震や熊本地震の被災状況と原因を報告した。熊本地震では「1981年以前の旧耐震基準で設計された建物に、倒壊を含む大きな被害が見られた。新耐震基準の建物で倒壊した事例は見当たらないが、ピロティ柱の損傷や、くい基礎の被害による沈下などはあった」。能登半島地震では「壁式のRC造は無被害が多数だった」と説明した。
沖縄県建築設計サポートセンターの上原利公氏は「RC造建築物の耐震診断」を解説。「現地審査では、図面と現況の整合性を確認し、劣化状況などを調査して耐震性を判断する」と説明。補強については、柱と壁の間に緩衝帯となる細い隙間をつくる「スリット補強」や、袖壁補強をした事例を紹介した。
沖縄県建築士会の中島親寛副会長は、自身が派遣された熊本地震での応急危険度判定を報告した。同判定は2次被害を防ぐため「外観目視で迅速に行う。かなり神経を使った」と話す。「沖縄は被災後、他県からの応援が難しい。多くの応急危険度判定士が必要」と力を込めた。