2016年7月15日
【情 報】近代建築197選 県内新たに2件選定
旧海軍病院と今帰仁村中央公民館
近代建築物の記録と保存に取り組む国際学術組織「DOCOMOMO Japan(ドコモモジャパン)」は6月17日、「2015年度 日本におけるモダン・ムーブメントの建築197選」を選定。県内から北谷町の米軍キャンプ桑江にある旧海軍病院と今帰仁村中央公民館を選んだ。ドコモモジャパンの名誉会員、兼松紘一郎さんと会員の根路銘安史さんは7月7日に県庁で会見を開き、講評などを発表した。
県内からの選定は2006年に那覇市民会館が選ばれて以来、10年ぶり。03年に登録された聖クララ教会(与那原町)と合わせて4件目となる。
旧海軍病院は55年に竣工し、県内で初めてアルミサッシを使用。現在では主流となっている、鉄筋コンクリートの躯体にアルミサッシを付ける施工方法の先駆けとなったほか、バリアフリーの最先端施設としても公共施設などに大きな影響を与えた。
今帰仁村中央公民館は1975年に竣工。大屋根があり、多くの半屋外空間を持った開放的な空間構成が特徴。設計段階から地域住民が参加し、村民が愛着を持てる公民館を目指して建てられた。現在も中庭などが村民の憩いの場として機能しており、地域に根ざした場であることが評価された。
兼松さんは「建築物にはその時代の考え方、主張が詰まっている。きちんと手を入れて残してほしい」と保存を呼び掛けた。
6日には、兼松さんと根路銘さんが在沖米軍の関係者や今帰仁村役場に選定書やプレートを贈呈した。
旧海軍病院。2013年まで運用された。戦後の記憶を後世に伝える施設としても重要な建物
中庭を囲むように「コの字型」に建つ今帰仁村中央公民館。村民が協力して施工する「自力建設」が試みられるなど、地域と一体となった取り組みも評価された
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1593号・2016年7月15日<リビング通信>から掲載