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2023年6月30日更新
[7月1日・建築士の日特集]2拠点で活躍する建築士④|比嘉幹さん(LSDdesign(株)
沖縄本島とそれ以外の「2拠点」で活躍する建築士にスポットを当て、地域や国が異なる2拠点に身を置くからこそ感じる面白さを語ってもらった。7月1日は建築士法の施行日から「建築士の日」。今号は建築士をテーマに特集します。
[拠点]沖縄本島 ー 宮古島
LSDdesign(株)
比嘉 幹さん
ひが・もとき/1980年、北中城村出身。琉球大学卒業後、県内の設計事務所に就職。2008年DesignWorkLSDに参加。11年、LSDdesign(株)として法人化した際、取締役に就任。13年に同社宮古支店を設立。20年度、宮古島で手掛けた児童福祉施設「みやくるる」でキッズデザイン賞を受賞。22年度にはうるま市の「ローゼルクラブ」でも同賞。
島の制約が建て方の幅に
宮古島の発展を見越し、2013年に宮古支店を設立したLSDデザイン(宜野湾市)。「いろいろな場所で仕事をしてみたい、という僕の希望と合致し、任された」という一級建築士・比嘉幹さん(43)。「ウチは設計も施工もできるからフットワークは軽い」と言うものの、宮古島で仕事があったわけではない。「とりあえず一人で飛び込んだ」
本島での設計業務もしながら宮古島で営業をし、協力会社を探し、「地元の模合やイベントにも参加しながら」仕事の基礎を整えた。
「あまり不安も気負いもなかった。宮古の人はストレートで駆け引きがないところが好き。僕の性分にも合っていた」1、2年目はほぼ宮古で生活し、今は週1回、1~2日出向く。
生コン高値の島で工夫 本島とは異なる建て方
支店を設立して今年で10年。住宅やホテル、施設など30軒以上を手掛けた。「島の人たちとの信頼関係も深まり、本島と変わらないクオリティで建てられるようになってきた」
工事は基本的に島の職人や協力会社と進めるが、スケジュールが厳しいときや施主の要望によっては、沖縄本島から職人を呼んだり本島で製作した物を輸送することもある。「二の手、三の手があるのは施主にとってもメリット。宮古の職人さんも、島外の仕事を見られるいい機会だと思う」
逆に本島で生きているのが「コンクリートの使い方」。宮古島は、生コン価格が「本島の約1・5~2倍」。そのため「使う部分を絞って、大工仕事(木工事)やタイル工事などさまざまな業種に置き換えをしている。人件費の方が高い本島とは異なるやり方。しかし、鉄筋コンクリート造が高騰している本島でも、いずれこの経験が役立つはず」
他離島にも仕事波及 造るチャンス増が喜び
多拠点で仕事をするメリットを「経営の安定」と話す。「離島でも建てられる会社」だと広まり、宮古島だけでなく他離島にも仕事が波及している。また、宮古島で手がけた児童福祉施設を見て、本島でも「こんな施設を造ってほしい」との依頼もあった。
「造るチャンスが増えたことが建築士としてなによりもうれしい。さらに多彩な地域で新築、店舗、リノベなど、それぞれの場所に合わせた建築に挑戦したい」
宮古島
比嘉さんが宮古島で手掛けたセカンドハウス兼民泊施設。「コンクリート価格が日本でトップレベルに高い宮古島で、あえてコンクリートをふんだんに使ってラグジュアリーに。宮古の人はプールよりもこのコンクリート感で高級物件だと思うはず(笑)」(撮影/笹倉洋平)
新築志向が強い宮古島で昨年、初めて手掛けたリノベ物件。「弊社はこれまでたくさんのリノベーションをしてきた。宮古島でも大事なストックを再生、活用していきたい」(撮影/牧野映像事務所)
本 島 糸満市で手がけた店舗兼住宅。宮古島で感じた「貴重なコンクリート構造を隠すのではなく、表すことで建物内外のデザインの一部にした」と話す(撮影/笹倉洋平)
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取材/東江菜穂
『週刊タイムス住宅新聞』建築士の日特集
第1956号 2023年6月30日掲載
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この記事のキュレーター
- スタッフ
- 東江菜穂
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編集者
週刊タイムス住宅新聞、編集部に属する。やーるんの中の人。普段、社内では言えないことをやーるんに託している。極度の方向音痴のため「南側の窓」「北側のドア」と言われても理解するまでに時間を要する。図面をにらみながら「どっちよ」「意味わからん」「知らんし」とぼやきながら原稿を書いている。