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2022年7月1日更新

[沖縄・建築士の日2022 特集⑤]意外な分野で活躍する建築士

7月1日は建築士の日。その職能は建築業界だけでなく、さまざまな職種で生かされている。意外な分野で活躍する建築士を紹介する。※7月1日は建築士法の施行日から「建築士の日」。今号は建築士をテーマに特集を展開します。


橋本 美則さん 西原町 建設部 産業観光課 農地農政係 係長
西原町観光まちづくり協会のメンバーと打ち合わせする橋本さん。壁に描かれているのは町内の地図。町民が手書きでお気に入りの店舗や景色、スポットを紹介


1級建築士資格を生かす役場職員

橋本 美則さん
西原町 建設部 産業観光課 農地農政係 係長 


町民巻き込み一緒につくる

農水産物直売所と西原町の観光・文化を発信する複合施設として、同町小波津に一昨年にオープンした「西原さわふじマルシェ」。「屋根は町の伝統文化である綱引きがモチーフ。綱を棒で支えるように、町民全体で支えていく気持ちが込められている」と説明してくれたのが、立ち上げに関わった一人、同町産業観光課職員で1級建築士の橋本美則さんだ。

入庁は8年前。当初は道路建設などに関する用地事務を担当したが、同マルシェの計画や基本設計が行われた6年前、担当を引き継いだ。

西原さわふじマルシェの外観パース。屋根デザインは、町の伝統文化の一つである綱引きがモチーフになっている。(西原町提供)
西原さわふじマルシェの外観パース。屋根デザインは、町の伝統文化の一つである綱引きがモチーフになっている。(西原町提供)
 
今年4月に開催された「軽トラ市」の様子。中央にいるのは同町観光キャラクター「さわりん」。(西原町観光まちづくり協会提供)
今年4月に開催された「軽トラ市」の様子。中央にいるのは同町観光キャラクター「さわりん」。(西原町観光まちづくり協会提供)


委託業務の管理、運営サポートも

現場では主に建設業者などへ発注した業務が滞りなく進んでいるかの管理を担当。「印象に残っているのは、工事が始まってからの工程管理」と橋本さん。当時は中国の経済発展やオリンピック需要などから全国的に建築資材が不足していたころ。県内も例外ではなく、職人不足も著しかったため、現場の工程会議では「シビアな話をする場面もあった」という。それでも「施工業者や工事監理者、メーカーや職人一人一人まで皆が最善を尽くしてくれた」と感謝する。

併せて展示制作業務の管理も担当。施設の一角に設けた、町の歴史文化や地域の情報を発信する「西原劇場」の活用にあたっては、「町民が育てていける場に!」と、コンサルタントを中心に、町の文化財係や商工観光係、同町ニシバル歴史の会や観光まちづくり協会のメンバーと一緒になってアイデアを出し合った。町民自らオススメスポットを書き込むマップを設置したり、「#西原町」などでSNSにアップされた画像を共有し映像で流す取り組みもその一つだ。

完成から1年半がたった現在は運営をサポート。週末には各種イベントの会場として活用される機会も増えており、「訪れる子どもたちの笑顔を見るのが何より」と笑う。2日には自身も所属する県建築士会浦添・西原支部主催の住宅作品展・建築無料相談会も開かれる予定だ。

大事にしているのは「ワクワク」と「人を巻き込む」こと。「私一人で成し得たことは何もない。建築関係者から町民まで、すべては関わった方々の熱い思いがあってこそ」と話す声に、橋本さんの思いがにじんだ。

「西原劇場」内部。昔懐かしい写真や綱引きの綱の実物を展示した歴史文化ゾーン、イベントや上映会ができるフリースペースもある
「西原劇場」内部。昔懐かしい写真や綱引きの綱の実物を展示した歴史文化ゾーン、イベントや上映会ができるフリースペースもある


プロフィル
はしもと・よしのり/1963年、福島県出身。1級建築士、補償業務管理士。大学卒業後、福島県の設計事務所に勤務。2007年夏に沖縄へ移住。県内設計事務所勤務を経て、14年、西原町役場入庁



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取材/徳正美
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1904号・2022年7月1日紙面から掲載

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