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2017年7月7日更新

不動産を短期・中期・長期的視点で捉える|不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き[4]

今回は、不動産コンサルティングを手掛けたHさん夫妻(30代前半)の2世帯住宅建築を例に、不動産を短期・中期・長期的視点で捉える大切さを伝える。

暮らしの変化見据えて

不動産を短期・中期・長期的視点で捉える

「住宅は一世一代の買い物!」という声をよく聞きます。見方を変えれば、住宅は人生において長くお付き合いをする相棒ということ。だからこそ、ライフステージの変化に対応できる住宅の在り方を、事前に検討しておくことが重要です。

Hさん夫妻は、幼稚園と保育園に通う2人のお子さん、母親の5人家族です。住宅用地探しの依頼から始まった不動産コンサルティングでは、「短期・中期・長期視点に立った住み方を考える」ことを重視しました。

無理のない住宅ローンの支払いという観点から見つかった土地は、小学校に近い30坪。建物に関しては将来のライフサイクルを見据えて家族と入念な話し合いを繰り返し、建築士に建築基準法上の確認をお願いして、4階建ての間取りプランができあがりました(写真)。


Hさん宅の敷地は30坪。建物は4階建てで床面積39坪。


1階は駐車場(軽自動車含む4台)


2階には母親の住宅と3階玄関への出入り口があり、3階がHさん世帯の住宅(3LDK)。4階はご主人の書斎と広い屋上


住み継ぐ、住み替える

まず、短期的視点として取り上げたのは子育て期間で、コミュニケーションの取りやすい間取り、忙しい日常で家事の時短を考えた動線に配慮。同時に、会社勤めの母親のライフスタイルを考慮して、別玄関での2世帯住宅を選択肢の一つとして提案しました。

中期的視点は、子どもが家を出た後の夫婦の住み心地を考えることです。その時点での生活をイメージし、ゆとりや楽しみが持てる間取りなのかをご夫妻と検証し、話し合いを重ねた結果、ご主人の書斎を設けることになりました。

長期的視点は建物の有効活用の方法、いわば老後の対策です。玄関が別々なので、母親の住居部分は賃貸に出すこともできます。また、お子さんが結婚したら、子ども世帯に利用してもらうなど、2世帯住宅として住み継ぐ選択肢を提案しました。

短期・中期・長期視点で住み方を考えるという観点から見れば、そのときどきの家族の人数やライフスタイルに合わせて家を住み替えるのも一つの方法です。

日本では、中古住宅の利活用はまだまだ進んでいませんが(グラフ参照)、住宅を新築・購入する前から、将来売れる住宅かどうかを検討しておくことも、一つの備えといえるでしょう。



中古住宅の利活用は、欧米に比べ日本ではまだまだ進んでいないのが現状。しかし国土交通省では現在、「中古住宅流通・リフォーム市場の規模を倍増」を目標に掲げ、中古住宅の流通促進を後押ししており、既存住宅の質の向上、資産として次世代へ継承する流れが生まれつつある



[文]
金城久雄(きんじょう・ひさお)
1963年、嘉手納町出身。(有)iホーム不動産コンサルティング代表取締役。狭小地有効活用や住宅プランニングを数多く手掛ける。沖縄県不動産コンサルティング協議会理事。

沖縄県不動産コンサルティング協議会
098-861-3402
http://okinawa-consul.com/wp/



<不動産コンサルティングマスターの土地活用の手引き>


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 第1644号・2017年7月7日紙面から掲載
毎月第1週に掲載

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比嘉千賀子

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編集者
住まいと暮らしの情報紙「タイムス住宅新聞」元担当記者。猫好き、ロック好きな1児の母。「住まいから笑顔とHAPPYを広げたい!」主婦&母親としての視点を大切にしながら、沖縄での快適な住まいづくり、楽しい暮らしをサポートする情報を取材・発信しています。

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