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2020年6月12日更新

ようこそ♪DIYの世界へ しっくいでラフな印象にリノベ

#27 本連載講師の島袋さんが手掛けた物件などを事例に、DIYのポイントなどを紹介する。今回は、古いアパートの壁全体に、ペンキと混ざったしっくいを施したホテルの部屋。

 Tripshot Hotels Koza(トリップショットホテルズコザ) 部屋名「ASH TONE」(アッシュトーン)

after。もともと2部屋に分かれていたが、壁を取り払って一つの空間にした


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壁の凹凸で空間に味わい
復帰前からある建物の一室で、階下にあったレストランの従業員用住居などとして使われてきたそうです。
そんな物件のリノベーションのポイントは、壁全体に施したしっくい。ペンキだと単調になるところを、しっくいを使うことで凹凸ができ、表情が出てきます。
作業はまず、水を多めに混ぜたペンキを塗り、乾かないうちにしっくいを重ねていきます。そうすることでグラデーションがかった色の、ラフな印象に仕上がりました。
今回はこれを板張りの壁で再現。ただし、板の色がグレーとは程遠いので、少し手順を変え、しっくいが乾いてからペンキを塗ります。
まず、しっくいには、粉に水を混ぜて作る「粉しっくい」と、すでに練られた状態になっている「ねりしっくい」があります。混ぜる作業が大変なので、そのまま使えるねりしっくいを使うといいでしょう。
作業の手順としては、壁に直接しっくいを塗り、乾いたら凹凸部分にペンキで色付け。凹凸が強調され、味のある空間になります。
注意するのはクロスの場合。しっくいを塗るとクロスが水を含んではがれる可能性があるため、クロスは事前にきれいにはがし、石こうボードに塗る必要があります。


after。かつて外部空間として使われていた名残で床はコンクリートだった。そこに杉の足場板を床全面に張った


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 ポイント1  しっくい+ペンキ

板張りの壁をはがすと、躯体のコンクリートが出てきた。そこで、コンクリートの色となじむよう、まずグレーの水性ペンキを塗布。ペンキが乾く前に上からしっくいを重ねた。これにより、グラデーションがかった色になる。しっくいの質感も合わさって、独特な雰囲気になった。

 ポイント2  市松柄的に並べた天井

単調にならないよう、仕上げ材の向きをあえて変えた。天井全体にメリハリが出る。

 ポイント3  新設の水回り

何もなかったところに配管を引いて水回りを新設した。湿気が多い浴室とトイレだけコンクリートブロックで囲み、それ以外の洗面室などは石こうボードで仕切っている。



しっくい壁にしてみよう
使う道具
・コテ(小さい方が扱いやすい)
・コテ板
・バケツ(頑丈なもの)
・ハケ
・ゴム手袋(肌が弱い人)
使う材料
・ねりしっくい
・水性ペンキ

ねりしっくい。袋からバケツに移すだけですぐに使える


①照明のスイッチやコンセント、床を養生する(養生方法の詳細は下)


②コテ板に載ったしっくいをコテですくうようにして取る


③壁にしっくいを塗り、コテでのばしていく


④下地の板が見えないように塗り重ねていく


⑤板壁部分にしっくいを塗った様子。1~2日ほどかけて、しっかり乾燥させる


しっくいの塗り方に失敗はない。コテによるムラや凹凸が味になるので、自由に塗ってOK


⑥ハケにペンキをつけ、缶の端などでこそげ落とす


⑦毛先を立て、かすれさせる感じで塗る。凸部分にだけ色が付くようにすると、凹凸がより強調される


⑧完成




スイッチの養生


スイッチなどにしっくいが付かないよう養生する。ここではカバーを外す場合の方法を紹介する。塗り終わったら逆の手順で元に戻す。

①カバーを外す


②土台プレートとスイッチ本体のねじを外す


③スイッチ本体を引き出す


④袋などをかけ、テープで固定する



島袋清成(しまぶくろ・きよなり)/INTERIAN代表、インテリアデザイナー。家具デザインを得意とし、インテリアをトータルで提案する。トリップショットホテルズ・コザのリノベーションも手掛けた。
050-1240-4059


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編集/出嶋佳祐
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1797号・2020年6月12日紙面から掲載

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出嶋佳祐

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編集者
「週刊タイムス住宅新聞」の記事を書く。映画、落語、図書館、散歩、糖分、変な生き物をこよなく愛し、周囲にもダダ漏れ状態のはずなのに、名前を入力すると考えていることが分かるサイトで表示されるのは「秘」のみ。誰にも見つからないように隠しているのは能ある鷹のごとくいざというときに出す「爪」程度だが、これに関してはきっちり隠し通せており、自分でもその在り処は分からない。取材しながら爪探し中。

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