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2024年5月10日更新

雨漏りに直結する所必須|知っておきたい!補修・改修のキホン②

今ある家に住み続けるには定期的なメンテナンスが欠かせない。が、何から手をつけていいか分からない人も多いのでは? 外装を中心に建物全般の補修改修を手掛けるタイズリフォームの赤嶺雄一郎さんに、補修改修のポイントを解説してもらう。2回目は、セルフチェックの中でも特に重要な「雨漏りと直結する部位」の症状別に考えられる不具合と対応について。


文・赤嶺雄一郎 ㈱タイズリフォーム代表取締役
 

雨漏りに直結する所必須

建物のセルフチェックにおいて特に重要な箇所が屋根や大小の庇、バルコニー、廊下、外階段です。 床面にあたる建物平面部は壁などの立面部に比べて直射日光や熱、風雨の外的影響を大きく受けます。加えて人の歩行や作業空間として使われている場合も多く、表面は傷や摩耗により劣化進行が速い環境下にあると言えます。そうした部分のひび割れや防水層の剥離などは些細なものであっても、建物内への雨漏りや、梁・柱などを含めたコンクリート劣化へと発展する可能性が高いためです=表参照。セルフチェックは周期を短く、定期的に行うのがオススメ。特に梅雨入り前や台風後のチェックは入念に行いましょう。
 

①屋根裏コンクリート剥落

鉄筋の腐食・膨張によりコンクリートが剥落(赤丸部)した事例。爆裂の大きさによっては天井材を突き破ることもあり、大変危険。防水済みコンクリートにも発生することがあるので、定期的にチェックが必要


②エフロレッセンスの発生

エフロレッセンスとは、コンクリート内の溶液が表面に析出する白華現象のこと。写真はひび割れなどを経由して軒天井に発生したもので、鉄筋のサビをまきこみ色が付き、つらら状に堆積している。雨漏りや鉄筋の腐食が進行している可能性あり


③飛来した種による配管詰まり

庭にあった植物の種が排水溝内にたまった泥に紛れ込んで発芽し、排水機能を遮断してしまっていた


④窓枠のシーリング材の劣化

写真はアルミサッシ下枠シーリング材の劣化。漏水事故のほか、アルミ下枠の変形により窓の開け閉めがしづらくなる場合がある

上からも下からも

チェックを行う際は、例えば2階廊下なら、床面を目で見て、指で触れて確認するのに加え、直下の1階廊下天井を下から見上げて二重にチェックするのが重要。また、室内の天井や床に点検口がある場合は、定期的にシミや水たまりがないか確認するのも有効です。

ほかにも、バルコニーで家庭菜園などをしている場合、排水口に土やゴミが詰まり、台風時に窓下から浸水することがあります。こまめに清掃したり水を流してチェックしたりすることでリスクを軽減することができます。

 
メモに残して

チェックを行う際には、実際に「見た」「聞いた」ことだけでなく「漠然とこう感じた」などの事柄を、メモに残しておくことも大切。それができるのがセルフチェックの最大の利点であり、大切な建物を末永く守る助力となります。


■症状別に考えられる不具合と補修改修の内容



表にまとめているのはあくまで平均的な内容。中には特殊な状態・状況もあり全ての事象を断定するものではありませんが、セルフチェックをしておくことで、実際に建物診断や補修改修工事を依頼する際、業者とのやり取りがスムーズにできるだけでなく、大切な建物の現況を把握し、将来を見据えた、無駄のない優れたコストパフォーマンスでの維持管理を可能にするのです。




【教えてくれた人】
あかみね・ゆういちろう/㈱タイズリフォーム代表。1級建築士、マンション維持修繕技術者、既存住宅状況調査技術者、宅地建物取引士

◆㈱タイズリフォーム
電話=098·975·7815

毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第2001号・2024年5月10日紙面から掲載

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