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2016年3月11日更新

メンテは掃除の延長|メンテでお得 すまい長持ち[10]

当連載では、長く住むために必要な建物のメンテナンスについて取り上げてきた。最終回は、記事を監修してもらった建築士の新里尚次郎さんと連載を振り返った。「メンテナンスは掃除の延長。できることから始めて住まいへの愛着をはぐくんでほしい」と語る。

家への愛着もはぐくむ


住んでいると、つい後回しにしがちなメンテナンス(以下、メンテ)をいかに実践してもらうかが、連載のテーマだった。

新里 
メンテと聞くと、面倒くさいとか、お金が掛かるとか思われがち。かといって後回しにするほど、補修費は確実に高くなり、安全性は失われていく。
個人的には、メンテは掃除の延長と考えている。掃除機を掛けて室内を掃除するように、建物の外もしようという呼び掛けだ。

(2015年6月12日公開)で紹介した伊波盛剛さん宅は好例。伊波さんは、台風が過ぎ去った後や旧盆・正月と、外壁についた潮やゴミを高圧洗浄機で洗い流している。夏場は、子どもたちの水遊びも兼ねているそう。劣化がないか調べたが、異常なし。「楽しみながらやる」ことが、確実なメンテにつながると感じた。


メンテは掃除の延長。外壁の洗浄は子どもたちの水遊びも兼ねたりして、楽しみながら続けたい



家を建てるときからメンテ費用の確保、設備の更新がしやすい設計の検討も提案した。

新里 
メンテに必要な費用は、30年間住むなら建築費の30%程度。建築費が3000万円なら900万円だ。分譲マンションは修繕積立金として自動的に確保できるが、一戸建ての場合、よほど意識しないと難しい。築30年以上の古い住宅では、費用が確保されなかったために必要な補修をしたくてもできない事態を招いてしまっている。
これから建てる場合は、その点も踏まえた上で住宅の総コストとして検討した方がいい。建築士は、建てた後のメンテについて施主の心強いサポーターになってほしい。
設計でも配管を一カ所にまとめて配置するなど、できる工夫はある=下図。建築士に相談してほしい。



図設備・配管の交換がしやすいプラン


配管を建物内部に引き込む箇所をまとめた例。洗面室の壁に穴を開け、パイプスペースで電気やガスの配管、給・排水管を分配。引き込む部分の壁をコンクリートブロックにすると躯体の負担を抑え、配管の交換もしやすくなる




築年数に応じて、必要なメンテとその費用の目安も示した=下表。

新里 今住んでいる人に、築年数と必要なメンテを意識してもらい実践につなげるのが狙い。築10年以内で建物の状態がいい場合、DIYで塗装するなど楽しく手を掛けてあげれば、「長く安心して住める空間」になる。
できることから始めて、住まいへの愛着をはぐくんでもらえると、うれしい。


表築年数別・必要なメンテとその費用(目安)

築10年以内なら
屋上防水約30万円 + 必要に応じて外壁補修・塗装約20万円(塗装のみ DIY)  or 約50万円(業者)

築20年前後なら
屋上防水約30万円   +   シーリング補修約20万円(業者)  + 外壁補修・塗装約50万円(業者)


=本連載は終了
 

編 集/我那覇宗貴
毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞 「メンテでお得 すまい長持ち」<10>」第1575号・2016年3月11日紙面から掲載


 

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