3件に1件⁉︎ 誰にでも起こる|どうするその空き家 あなたの実家も!?|タイムス住宅新聞社ウェブマガジン

沖縄の住宅建築情報と建築に関わる企業様をご紹介

タイムス住宅新聞ウェブマガジン

リノベーション

メンテ

2024年4月5日更新

3件に1件⁉︎ 誰にでも起こる|どうするその空き家 あなたの実家も!?

文/山入端学(全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部事務局長)

全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部の山入端学さんが、空き家問題の背景や沖縄の現状、具体的な活用方法を紹介。初回は、全国の現状と空き家が及ぼす悪影響について


 




3件に1件⁉︎ 誰にでも起こる

20年で1.9倍に

空き家問題は、建物を所有する所有者とそのご家族誰しもに起こりうる、人ごとではない身近な問題です。例えば、皆さまのご両親や高齢で独居のひとり親、または相続人不在で独居のごきょうだいなどが突然の長期入院、高齢者施設への入所や他界などにより、即空き家予備群・空き家になります。

住宅・土地統計調査によると、1998年に576万戸だった空き家は2018年には849万戸と、20年で約1.5倍に。これは賃貸の空室や売却用物件なども含む数字です。

一方で、二次的利用、賃貸用または売却用の住宅を除いた、長期にわたって不在の住宅などの「居住目的のない空き家」は、放置すると管理不全空き家になる恐れがあり、悪化すると特定空き家(※1)になる可能性が高い、注視する対象と考えられます。こちらは20年で約1.9倍に増加=グラフ。2030年には約470万戸に増えると予測されています。

「居住目的のない空き家」の内訳は、一戸建てが7割以上と最も多く、その発生(取得)経緯は相続が55%を占めています。所有者の約3割は遠隔地に居住、所有世帯の家計を支える者の約6割超が65歳以上の高齢者です。今後の日本は第一次、第二次ベビーブームの世代が高齢者へ突入する超高齢社会です。空き家問題も一気に加速し、その割合は全体の30%を超えるとも言われています。



地域力の低下も

空き家はもちろん個人的な所有物ではありますが、隣接地や地域にとっては、左図のようなさまざまな問題を引き起こす可能性があります。また空き家の倒壊などで周辺家屋や通行人に危害を与えた場合、所有者に過失がなくても損害賠償責任が発生します。

さらに空き家が増えると地域の活力が低下します。人口が減り、地元地域の自治会活動や伝統文化の継承が難しくなります。実際、過去に財政破綻した北海道夕張市やアメリカ・デトロイトなどでの空き家率は30%前後を推移していました。

3件に1件が空き家になると地方自治体の財政は破綻するともいわれています。町から人がいなくなると、スーパーやコンビニなどの商売が成り立たず撤退します。学校や病院なども例外ではありません。個人の問題=地域の問題、個人の資産=地域の資産なのです。





※1)そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険や衛生上有害となる恐れのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家





やまのは・まなぶ
1969年生まれ、名護市在住。昨年、(一社)全国空き家アドバイザー協議会沖縄県名護支部を設立し事務局長就任。(同)城コーポレーション代表社員。沖縄県宅地建物取引業協会会員。北部地区宅建業者会副会長


毎週金曜日発行・週刊タイムス住宅新聞
第1996号・2024年4月5日紙面から掲載

メンテ

タグから記事を探す

この記事のキュレーター

スタッフ
週刊タイムス住宅新聞編集部

これまでに書いた記事:2128

沖縄の住宅、建築、住まいのことを発信します。

TOPへ戻る