築25年の所有物件、室内を「ロココ様式」に改装|こだわリノベ

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18世紀のフランスで発祥した、優美な装飾様式が特徴の「ロココ」。Aさんは所有物件を、長年の夢だったロココ様式に囲まれた空間にリノベーションした。好きなものに囲まれた空間で、満たされた暮らしを楽しむ。(編集部/伊波克朗、撮影/比嘉秀明)

Aさん所有物件 RC造/築25年/室内改装

リノベーション前

リノベーション後。手前のダイニングはLDKだった場所。奥にあった寝室はLDKとの間仕切り壁と収納を取り、リビングにした。白とゴールドを基調にした空間や壁のモールディング、シーリングメダリオン(天井装飾)が取り付けられたシャンデリアなど、隅々まで気を配っている

改装前のお悩み「自分らしさを大切にして、美しいものに囲まれ心豊かに日々を暮らしたい」

生活感出さず優雅に

大理石調の床と壁に囲まれた玄関を抜けると、「ロココ」があふれているリビングとダイニングに出迎えられた。内装だけではなく、家具や置物からもロココへの愛が伝わってくる。「30年ほど前に、マイセンの磁器人形に一目ぼれして。そこからロココ様式の勉強と家具のコレクションを始めました」と施主のAさんは笑う。

細部にまで意匠を凝らし、自身の美意識を丁寧に写し出した住まいは、日常に穏やかな充足感をもたらしている。空間と調和する暮らしのかたちについて、静かな喜びをにじませながら語った。

リノベーション前

リノベーション後。リビングからダイニングを見る。元々あった収納(左下)を取り除き、リビングとダイニングを広げた。整えられた空間の奥に、豊かさと静かな誇りがゆったりと流れている。「どこに座っても、優雅な気持ちにさせてくれます」

夢を現実に

リノベーションをするにあたり、ロココ様式や古代ギリシャ・ローマの建築様式を取り入れた「ネオクラシック」様式といった繊細な美意識を理解し、空間として表現してくれる人と出会えるのかが、最も大きな不安だった。知人経由で知り合った施工担当者とはモールディングの意匠や、家具との調和に至るまで、幾度も打ち合わせを重ねた。その中で伝えられた提案は、「私の理想と深く響き合うものでした」。ときには技術的な制約もあったが、そのたびに丁寧に向き合い、思いに寄り添いながら理想の形につなげた。

玄関。置かれたコンソールが空間に優しい表情を添える。「迎えるときは、少し華やかに」とAさん。さりげない心配りが暮らしを美しく見せる

完成した空間は、気品と安らぎに満ちたものになった。「何より、常に寄り添い、確かな技術と洗練された感性で支えてくださった担当者の存在が、この住まいを特別なものにしてくださいました。信頼を重ね、今では大切なご縁となっております」

「フランスには『孤独は美徳だ』という言葉があります。好きなものに囲まれることで、自分らしく生きる糧をもらっています」とAさんはうれしそうに話した。

リノベーション前

リノベーション後のキッチン。ロココ様式で統一されたリビング、ダイニング、寝室に対してキッチンや水回りはどの時代様式にも美しく調和する大理石を採用

リノベのカギ「理想とする美の形は、幾度も対話を重ねる中で共有。確かな技術と誠意によって一つひとつ丁寧に実現された」

どこから見ても美しく

Aさんはロココ様式について知識を持っていて、貴重な家具も複数所持していた。施工を担当したE:N:J:の兼城勝子さんと松根正夫さんは「Aさんのやりたいことを基にプロの視点からの意見を伝え、話し合いながら家具が引き立つような空間を造り、どの位置に立っても美しい景色が目に入るようにしました」と説明する。

アドバイスをした結果、より良く仕上がったのが壁やドアのモールディング。意匠はAさんが決めたが、「より映えるように、意匠同士の間隔や壁とモールディングの幅との比率などは調整をしました」と兼城さん。その際にモールディングで使用した素材が湿度や気温によって伸縮するため、どうしても両端に隙間ができてしまうことは「あらかじめ説明し、納得してもらいました」。他にも、浴室のタイルは、通常より大きい600ミリ角サイズを採用。目地を少なくすることで空間が広く見え、清掃が楽になる。

リノベーション前の浴室

リノベーション後の浴室。浴槽を撤去し、新たに上質なタイルと美しい金具を採用。間接照明にすることで、くつろぎのラグジュアリールームに

見た目だけではなく、住みやすさも考慮してある。二つあった寝室の壁収納を取り払い、片方をリビングに変更してLDKを広げた。来客をもてなすダイニングと、私的に使いたいリビングの間には柱を立て、公私のスペースを緩く仕切った。

さらに浴室から寝室につながる動線をプライベートゾーンとするため、ダイニングとの間に壁を作り、トイレとウオークインクローゼットを新設した。

兼城さんは「納得がいくリノベーションをするには、自分で決めることが重要だと考えています。Aさんとは何度も話し合って細部を詰めた結果、高い仕上がりになりました」と語った。

浴室から寝室までの動線。洗練された雰囲気を出すために全体を石調に統一。さりげなくゴールドを取り入れ、華やぎを添える。「一直線に広がる景色が、穏やかで満ち足りた心地よさをもたらします」

寝室。天井にまでさりげなく意匠をあしらった。「やわらかな気品に包まれ、朝目覚めたときに広がる穏やかな美しさがそっと心を満たしてくれます」(Aさん提供)

DATA

躯体構造:鉄筋コンクリート造
築年数:約25年
2階施工面積:約86平方メートル(約26坪)
工期:4カ月
設計・施工:(同)E:N:J:
電気:(同)E:N:J:
カーテン:(有)ワールドルーム
家具:輸入家具カレブ

お問い合わせ

(同)E:N:J:
電話 080(6374)6687
http://enj-okinawa.jp


毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」こだわリノベ
第2103号(2026年4月24日発行)より転載