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家族に介護が必要になった際の悩みの一つに、介護する側の身体的負担がある。介護福祉士の中松光さんは「ポイントは力任せにしないこと。『抱える』のではなく『支える』に視点を変えるだけで楽になる」とアドバイスする。2026年8月5日に県総合福祉センターで開催され、中松さんが講師を務めた「はじめての介護講座『目からウロコ! 誰でもできる介護技術の基本の“き”』」(沖縄県介護実習・普及センター主催)から、介護の際の考え方とポイントを紹介する。(編集部/徳正美)
はじめての介護講座 「目からウロコ! 誰でもできる介護技術の基本の“き”」
講師プロフィル

なかまつ・ひかる/「となりのカイゴ屋さん ココカラハピネス」代表。フリーの介護講師として活動。おきなわ仕事と介護の両立サポート協同組合理事。介護福祉士
介護の場面で思い浮かべることの一つに、トイレに行くなどの移動や、ベッドから車イスなどへの移乗がある。「その際、力がないと介護できないと思いがちだが、力任せに抱えると慢性的な腰痛など体を壊す原因になるだけでなく、介護される本人のできる力を奪ってしまうことにもつながる」と中松さんは注意を促す。
ポイントは「事前に声をかけ」、抱えずに「支える」こと。例えば「腕を上げましょう」と声をかけ、本人が少しでも腕を上げようとしたら下から支える、という具合=下写真。「声をかけることで本人に腕を上げようとする意識が働く。その力を生かせれば支える力も少なくて済む」。反対に介護者が突然持ち上げようとすると、相手の腕は簡単に持ち上がらないため、強く握って引っ張り上げることになる。講座では参加者21人がペアを組んで実際に体験した。
「握る」でなく「支える」


参加者がペアを組んで腕を持ち上げる動作を体験。「声をかけ、相手の動きに合わせて下から支える(左写真)のに比べ、声をかけずに上から握る(右写真)と持ち上げるのに力がいる」と参加者
中松さんは「人は急に触れられると脳に不快な情報が伝わり体が抵抗して、思わず払いのけるなど反発する力が働く。続くと触れられるのが苦痛になることもある」と解説。ありがちなのが、時間をかければ自分でできるのに、介護する側が動かせないと思い込んで手を差し伸べていたり、余裕がないことから雑に触れたり引っ張ってしまい、怖がらせてしまうケース。「本人の状態を把握しないままサポートすると過剰介護になりがち。一度確認した方がいい。1人の人として接する気持ちも忘れないで」とアドバイスした。
腰を落とし、「台になったつもり」で
立ち上がりや、座る際の介助法についても解説した=下記詳細。
立ち上がりの際は、相手の重心移動を邪魔しないよう、
①1歩後ろに下がり
②片足を後ろに引いて腰を落とし
③「立ちましょう」と声をかけて相手の手や腕を下から支える
「相手の重さを受け止める台になったつもりで支える」のが、コツ。
座る際は
①相手の肩甲骨あたりに手を添え
②「座りましょう」と声をかけ
③相手の動作に合わせて支える
「腰に手を当てると支える力が伝わりづらい」と、注意を促した。
立ち座りの際の支え方


(左写真)座る際の介助は、肩甲骨あたりに手を添えるのがポイント。支える力が効果的に伝わるという
(右写真)立ち上がりを介助する際は、一歩下がって片足を引いて腰を落とし「相手の重さを受け止める台になったつもりで」
用具は使う人に合わせて
中松さんは「介護度が進んで本人の力を引き出すのが難しい場合や、介護者の負担が大きい場合は、無理せず福祉用具に頼って」とも話した。参加者は車イスや杖、実習室に設置されたベッドや改修前後のトイレなどに触れ、種類や使い心地の違いを体感した。

車イスを実際に動かし中松さんから説明を受ける参加者たち。「まずは実際に見て触れることで、こんな福祉用具があると知ってもらうことが大切」と中松さん
中松さんは「福祉用具は使う人の性格や状態、介護する人の条件などを考えて選ぶことが大切」と説明。「初めて介護に携わる場合、1人で抱え込むと心身共に疲弊し、適切な判断ができずに離職や暴言・暴力につながってしまう恐れがある。介護福祉士や福祉用具専門員などのプロに頼り、福祉用具も使って環境を整えることが大切。まずは相談を」と呼びかけた。
2026年度の「はじめての介護講座」は7月から実施中。9月には口腔ケア、排泄ケア、10月は褥瘡(じょくそう)予防とスキンケアの講座がある。詳細は、沖縄県介護実習・普及センターに問い合わせを。
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」介護と共生の輪(5)
第2120号(2026年8月21日発行)より転載