読了時間 約6分
空間デザイン心理士Ⓡで一級建築士。2児の母でもある、まえうみ・さきこさんが、空間を心理的に解析する。今回は、お金がたまる家とたまらない家の違いを解説。「その差は空間の使い方や間取りに現れます。大切なのは“見える化”すること」と話します。(文・イラスト/まえうみさきこ・ielie)
「空間の使い方・見える化」で出費に差
同じくらいの収入、同じような暮らしぶりなのに、しっかりお金がたまっているお宅と、なぜかたまっていないお宅があります。
長年、たくさんの住まいを見てきて、その差は「収納や部屋の使い方」「間取り」にはっきり表れると感じています。家がお金を生むわけではありません。ただ、家は暮らす人の行動をいつのまにか決めていて、そこでの毎日の積み重ねが、たまる家とたまらない家を分けると思うのです。今回は、その違いを四つの空間から見てみます。
①玄関で、すでに差が付いている
お金がたまらない家は、玄関がモノであふれがちです。届いた荷物、履かない靴、置きっぱなしの紙袋。「家の顔」である玄関が散らかっていると、家中に「とりあえず置き」の癖が広がっていきます。
たまる家の玄関は、すっきりしていて、モノが家の中の決まった位置へ流れる仕組みができています。玄関は、その家の暮らし方が最初に見える場所なのです。
②「使う場所」と「しまう場所」の距離
たまらない家は、モノの使う場所としまう場所が離れています。だから何をどれだけ所持しているかが分からなくなり、同じものをまた買ってしまう「二重買い」が起きてしまいます。
たまる家は、使う場所のすぐそばにしまう場所があります。ひと目で在庫が分かると、無駄な出費が自然と減っていきます。
③収納に余白があるか
たまらない家は、棚や引き出しなどがモノでぎっしり埋まっています。すると、新しいモノが増えたときに、とりあえず空いている場所へ押し込んでしまい、買ったこと自体を忘れてしまいます。
たまる家には、意識してつくられた「余白」があります。余白があることでモノが増えたことにすぐ気づき、「これ、本当に要るかな」と、買う前に一度立ち止まれます。
④家計を「見る場所」があるか
たまらない家は、通帳や領収書、保険など家計関係のモノの置き場所が決まっていません。
たまる家には「お金コーナー」があります。家計に関わるものがそこに集まっていて、家族が数字を眺められます。お金は、見える場所に置かれることで初めてコントロールできるようになります。
もう一つ、やってほしいのが、お金そのものの整理収納です。お金に関する一番小さい空間が「財布」。レシートやカードでパンパンだと、今いくら持っているのかが見えにくいです。財布も「小さなお部屋」だと思って中を整えると、お金の出入りが見えやすくなります。
まず一カ所から始める “たまる家”への第一歩
四つの空間の違いを見てみると、「たまる家」に共通するのはたっぷりの収納や広さではないことが分かります。「見えて、手が届く」ように設計されていること。ただ、それだけの違いなんです。逆に言えば、お金がたまらないのは「空間」に原因があるのかもしれません。それなら直すべきは、自分の性格ではなく、まずは仕組みと間取りのほうなのです。
こうした工夫で手ごたえを感じ、間取りごと変えたい場所が見えてきたら、リフォームを考えればいいのです。まず暮らし方を変えてみて、それでも足りないところを工事で変える。それが失敗しないこつです。その際は、より「暮らしが見える間取りか」を、判断の軸に加えてみてください。
きょう、早速どこか一か所を「見える化」してみてください。その小さな一歩が、たまる家への第一歩になります。
お金がたまる家にする、4つのポイント
①玄関をすっきりさせる

たまらない家は玄関がモノであふれがち。たまる家の玄関は、すっきりしています。特別に広いわけではなく、「モノが家の中の決まった位置へ流れる」仕組みができているんです。玄関をすっきりさせる第一歩として、「一時置きカゴ」を一つ用意してみましょう。帰ってきて3秒でモノが置け、散らかりがずいぶん減ります。
②使う場所の近くに収納

たまらない家は、モノを使う場所としまう場所が離れていて、何をどれだけ所持しているかが分からなくなることが多いです。それが、同じモノをまた買ってしまう「二重買い」の原因にもなります。
一方、たまる家は、使う場所のすぐそばにしまう場所があり、食品ストックも日用品も、ひと目で在庫が分かるので無駄な出費が自然と減っていきます。収納において大切なのは、モノの量より「位置」だと考えます!
③収納に余白がある

たまらない家は、あらゆる場所がモノでぎっしり埋まっています。そのため、新しく買ってきたモノを空いている場所へとりあえず押し込んでしまいます。
たまる家には、意識してつくられた「余白」があります。棚や引き出しにも少しゆとりがある。その余白があるからモノが増えたことにすぐ気づき、「これ本当に要るかな」と一度立ち止まれる。この小さな余白が、衝動買いの静かなブレーキになってくれます。
④家計を見られる「お金コーナー」がある

たまらない家は、お金周りのモノ(通帳や領収書など)が家中に散らばり、お金の全体像が誰にも見えていないことが多いです。
たまる家にするには、「お金コーナー」を設けること。ダイニングの一角でも、引き出し一つでも良いです。家計に関わるものがそこに集まり、月に一度は家族が数字を眺められるようにしておきます。お金は「見える」ようにして初めて、コントロールできるようになります。
執筆者プロフィル

まえうみ・さきこ/1976年、嘉手納町出身。建築会社に20年勤務したのち、2021年6月に「ielie(イエリエ)」を設立。建築の知識やママの経験を生かして、住まいの悩みに応じたコンサルティングやインテリアコーディネートを行う。一級建築士、空間デザイン心理士®、夫、2人の子ども、猫2匹と暮らす。
ielie(イエリエ)ホームページ
↓画像をクリックすると、「ielie(イエリエ)」の公式LINE登録へ移動します
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」家と心理(55)
第2126号(2026年10月2日発行)より転載
