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家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする(一社)全国幸せ相続計画ネットワークの専門家が、相続で大切なワードを深掘りして解説する。今回は同ネットワークの代表理事・亀島淳一さんが、所有していると利益よりも負担の方が大きくなる「負動産」になりやすい築古アパートについて取り上げる。(文/亀島淳一 (一社)全国幸せ相続計画ネットワーク・代表理事)
収益を生み続けるか
かつて賃貸アパートは、「家賃収入が得られる」「相続税対策になる」という理由から、地主の代表的な資産活用手法でした。しかし、人口減少や空き家の増加、建築費や修繕費の高騰などにより、相続時には思わぬ負担となるケースも増えています。
相続税評価額が下がるという理由だけで保有し続けると、次世代が赤字経営の物件を引き継ぐことになりかねません。相続対策は節税だけを目的にするものではなく、将来にわたって収益を生み続けるかどうかが重要です。
築年数が経過したアパートは競争力が低下し「空室が埋まらない」「家賃を下げないと入居者が決まらない」「リフォーム費用がかかる」などの事態に陥り、結果として相続人が期待していたほどの収益を得られないケースがあります。
また、築20~30年を超えると、外壁塗装、給排水設備の更新、共有部分の改修といった大規模修繕が必要となり、相続後すぐに多額の資金を用意しなければならない状況も見られます。アパート建築時の借入金がまだ残っているケースでは、金利上昇による返済負担の増加や、空室によって返済資金が不足する場合があります。
空室が目立っている場合は、設備の更新や周辺環境の変化に伴う間取り変更、リノベーションを実施し価値向上を図り、収益改善に結び付けます。ほかにも、管理体制を見直して管理会社や管理内容の変更をする、収益性が低くて将来性も見込めない場合は、整理・売却も選択肢の一つです。
親世代は長年、賃貸経営を行っていても、子どもが「遠方に住んでいる」「不動産経営に興味がない」「管理ノウハウがない」ケースは珍しくありません。結果として「相続したけど、何をしていいか分からない」という状態になります。

相続税対策に制限
賃貸用不動産を活用した相続税対策を取り巻く環境も変化しています。
2026年度税制改正大綱では、相続開始前5年以内に取得または新築した一定の貸家・貸付用不動産については、従来の相続税評価額ではなく、取得価格を基礎とした時価ベースに近い評価方法が27年1月から導入される方向となっています。いわゆる「5年ルール」と呼ばれる見直しであり、これまで相続直前に賃貸住宅を建築して評価額を大きく引き下げる手法に一定の制限が加えられることになります。「借金をしてアパートを建てれば相続税が大きく下がる」という時代ではなくなりつつあります。
収益物件は築古、新築に限らず、定期的に収支を把握することから始めましょう。重要なのは、「節税になるから持つ」のではなく、「将来も利益を生み続ける資産なのか」という視点です。“負動産”からの転換を図るためには、収益分析を行い、物件の競争力を把握した上で、自分や家族にとってどの対策が良いのか、考えて実行することが欠かせません。
(一社)全国幸せ相続計画ネットワークとは
全国の士業(税理士、司法書士、弁護士)をはじめ、相続の専門家が「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及啓もう活動を行う。「親の不動産(通称:もめナビ)」サイトを監修。
https://www.momenavi.com/
◆パートナー士業「行政書士法人シナジーアシスト」相続無料相談会
ネットワークの一員として、相続専門の行政書士法人として活動するシナジーアシスト(代表行政書士・仲根佑亮)が主催する初の相談会。今回は、将来重荷になる“負動産”の中でも「人に貸している土地」に関する相談を受け付ける。予約制。1組約1時間。相談無料。
期間:2026年9月1日(火)~5日(土)
時間:午前10時~午後7時(最終受付)
場所:中城村南上原1007/読谷村字ときわ36-5-A棟(サンエー大湾シティー隣)※自宅への訪問相談可能
問い合わせ・申し込みは098-963-6340(平日午前9時30分~午後5時)。
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」○○を深掘り(5)
第2120号(2026年8月21日発行)より転載