家族がもめないための「幸せ相続計画」の普及・啓蒙をする(一社)全国幸せ相続計画ネットワークの専門家が、相続で大切なキーワードを深掘りして解説する。今回からは同ネットワークの代表理事・亀島淳一さんが、所有していると利益よりも負担の方が大きくなる「負動産」について説明する。(文/亀島淳一 (一社)全国幸せ相続計画ネットワーク・代表理事)
利益より負担が大
相続対策というと、「相続税を減らすこと」や「財産を多く残すこと」に目が向きがちです。しかし、本当に考えるべきなのは、その財産が次世代にとって「資産」なのか、それとも「負動産」なのかという視点です。
「負動産」とは、所有していることで利益よりも負担の方が大きくなる不動産のこと。代表的なのは、人に貸している土地(底地)、共有名義、収益性が低下した築古アパート、空き家となった実家など。ほかにも、利用していない農地や山林、遠方の土地も将来的に負動産となる可能性があります。
共有名義の不動産は、売却や建て替えをしたくても所有者全員の同意が必要となり、相続を重ねるほど権利関係が複雑になります。築古アパートは、家賃の下落や空室の増加、修繕費の負担によって収益性が悪化することがあります。空き家は管理費や固定資産税がかかるだけでなく、老朽化による倒壊リスクや近隣への影響も無視できません。
親世代にとっては「先祖代々守ってきた大切な財産」でも、子や孫の世代にとっては、金銭的な利益はなく「管理」だけが残る財産になってしまう。それが「負動産」です。
負動産になる恐れがあるのは


人に貸している土地(底地)や共有名義、収益性の低い築古アパート、空き家になった実家は、将来的に「負動産」になる恐れがある
路線価を判断材料に
今や、「土地は持っていれば価値が上がる」という時代ではなくなりました。これからの相続対策は、財産を残すことではなく、「引き継いでよかった」と思える資産を残すことへと考え方を変える必要があります。
判断材料の一つが、毎年公表される路線価。相続税や贈与税算定の基準となるもので、7月1日に公表された2026年分の路線価は全国平均で前年比2・9%上昇、5年連続のプラス。沖縄県も平均変動率6.6%で東京都に次ぐ全国2位、12年連続で上昇しています。観光需要や人口流入、再開発などが背景にありますが、その一方で地域による格差も広がりつつあり、不動産価値の二極化が進んでいます。
路線価の公表は、自分の不動産が将来も価値ある資産として引き継げるのか、それとも負動産になり得るのかを見直す絶好の機会。地価が上昇している今だからこそ、「評価額」だけでなく、「収益性」「管理のしやすさ」「次世代が本当に引き継ぎたい財産か」という視点が重要です。つまり、不動産を客観的に見直し、「本当の価値」を見極めることが求められています。
さらに2026年度の税制改正では、賃貸住宅を活用した相続税対策の見直しも示されました。これからは「節税になるから建てる」という考え方だけでは十分とはいえません。前記のように、不動産の本当の価値を把握することが、これからの相続対策です。
次回からは、特に相談の多い「賃貸物件」「人に貸している土地」「共有名義」「空き家」について深掘りし、負動産を整理しながら納税資金を確保し、親子で計画的に資産を引き継ぐ「親子資産リレー」という新しい考え方もお伝えします。
(一社)全国幸せ相続計画ネットワークとは
全国の士業(税理士、司法書士、弁護士)をはじめ、相続の専門家が「相続で家族をもめさせない」「相続で優良財産を減らさない」「子や孫を将来お金で困らせない」ことを目指し、「相続計画」という新しい考え方の普及啓もう活動を行う。「親の不動産(通称:もめナビ)」サイトを監修。
https://www.momenavi.com/
◆セミナー&相談会
①基礎編/2026年7月24日(金)午後2時~、コザ信用金庫本店 2階会議室(沖縄市上地)
②深掘り「資産保持・承継」編/7月25日(土)午前10時~、北谷町商工会ホール(北谷町上勢頭)
③深掘り「資産形成・運用編」/8月1日(土)午前10時~、北谷町商工会ホール
※完全予約制、②と③はセミナー後に個別相談・受講無料
問い合わせ 050(1809)0106(平日・午前9時30分~午後5時)
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」○○を深掘り(4)
第2115号(2026年7月17日発行)より転載