Kさん宅 RC造/自由設計/家族5人
「コンクリート打ち放しで、真四角な家が好み」という、50代のKさん。念願のマイホームは、職住一体の2階建て。コンパクトにしつらえた理想の住まいで、シンプルな暮らしを楽しむ。

大きく迫り出した階段の屋根が印象的な東側の外観。1階の塾スペース前は砂利敷きの駐車場で、屋根があるため自転車の保管・メンテナンスの場として活用する
あえての暗さ楽しむ
家を建てるのが長年の夢だったKさん。理想の外観はコンクリート打ち放しのシンプルな箱型。1階は40代の夫人が経営する塾で、2階が自宅だ。「真四角に見える家にしたくて、ベランダは設けませんでした。おかげで日頃の掃除や片付け、台風対策も不要になり楽です」とKさん。
夫婦共働きで、小3、小1、2歳の3人の子育て中。掃除・片付けの時間を減らすため、自宅は約25坪とコンパクト。「キッチンとダイニングテーブルは横並びで」という夫人の希望でLDKにスペースを割いた。個室は最低限の広さにし、子ども室はキッチンの背後に設けられている。

2階のLDK。キッチンの横並びに、ダイニングテーブルがあるスタイル。キッチンの背後に子ども室、左手には水回りという間取りで、家事もコミュニケーションもスムーズにできる。ロボット掃除機が滞りなく動くよう、床は段差なし、引き戸は上つりを選んだ
家族はLDKに集い、勉強をしたり、駆け回ったり、小上がりの畳スペースで筋トレしたりと、思い思いの時間を過ごす。「キッチンにいれば、家事をしながらでも子どもたちに目が届くし、会話もできる。高窓から見える景色がお気に入りです」と夫人。
内装は、コンクリート打ち放しの壁を生かし、天井や収納、空間を仕切る木壁に暗めの色のクロスを組み合わせた。大きな開口部はなく、昼間でもほの暗い空間が「落ち着いて過ごせる。間接照明中心のあかりもいい雰囲気」。

玄関からLDKを見る。外から見えづらくなるよう、内装はあえて暗めに。高窓からは空と街並みがくっきり見え「景色を眺めながら、気持ちよく家事ができる」と夫人。小上がりの畳スペースは、風呂上がりの子どものケアに、Kさんの筋トレの場にとさまざまな場面で重宝。畳スペースの背後に寝室がある

キッチン。天井高いっぱいまで設けた背面収納のおかげでスッキリ。左奥に玄関がある
趣味も楽しめる
長女の小学校入学と、夫人が事業を始めるタイミングが重なり、念願の家づくりに着手。実家の近く、南風原町内の区画整理地にあった親族の土地を購入し、小学校からの友人である建築士に設計を依頼した。「理想の外観の家をたくさん建てているし、気心も知れているから要望も伝えやすかった」とKさん。
1階の塾スペース前の駐車場は屋根があり、趣味の自転車のメンテナンスや、ちょっとした作業をするのにも打ってつけ。「塾スペースは将来、趣味の場に変えることもできる。家族に合わせて活用していきたい」と笑顔を見せた。

子ども室。将来、2部屋に仕切って個室化できる造りになっている。フロアシートは子どもたちでお気に入りを選んだ
ここがポイント/設備配置と鏡効果で快適
敷地は南と東が道路に接し、四方から建物に視線が集まりやすい立地。Kさん夫妻の「ベランダ不要」の要望を受け、建築士の金城司さんは、「ベランダは設備の目隠しや、外から室内を見えづらくする役割も担っている。外回りの美観とプライバシーの確保が課題と考えました」と話す。
まず外観は、雑然とした印象にならないよう、設備配管やエアコンの室外機などの配置、電線の引き込み柱の位置まで綿密に計画した。前面道路からの出入りのしやすさと1階の塾の送迎を踏まえ、建物を西側に配置して広い駐車場を確保。道路から最も見えない北側に階段と設備配管等をまとめ、車通りの多い道路から目につく西面と南面で真四角の外観を実現した。

北側の外観。階段を上り切った場所に玄関ポーチがあり、その奥のスペースに、設備配管や温水器、エアコンの室外機などの設備をまとめて設置している。綿密に計算した配置の間隔や高さがまとまってみせるカギ
「設備配管は、配置する高さ、並べる間隔まで計算して設置。当初、敷地南西側に立つ予定だった引き込み柱も、電線の束や影で美観を損なわないように配慮。目立たない北東側に配置換えしました」
外部からのプライバシー確保という点では、窓の数と大きさを最小限に留め、さらにガラス面の内外の明るさの差を利用する鏡効果を用いた。鏡効果とは、明るい側からは、ガラスが鏡のように反射して見えず、暗い側からは向こう側が透けて見える仕組みだ。室内の壁はコンクリート打ち放し。「組み合わせるクロスを暗めの色にして、照明は間接照明を中心に。室内は日中でもほの暗い状態です。外が明るければ外部から見えづらくなるため、カーテンなしでも気兼ねなく過ごせます」
床は段差をなくし、キッチン、水回り、ファミリークローゼット、寝室を回遊できる間取りにし、毎日の家事と暮らしの快適さを高めた。

寝室。右奥にファミリークローゼットへ抜ける出入り口があり、水回りと行き来できる造りになっている

「家の中で唯一、明るい」という室内物干し場。縦長窓から西日を取り込み、洗濯物の乾燥に活用する
DATA
家族構成:夫婦、子ども3人
敷地面積:264.45㎡(約80坪)
1階床面積:83.50㎡(約25.25坪)
2階床面積:81.25㎡(約24.57坪)
建ぺい率:32.17%(許容65.11%)
容積率:49.84%(許容175.58)
用途地域:第一種低層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
躯体構造:鉄筋コンクリート造ラーメン構造
設計:(有)門一級建築士事務所 平野悠、池間雄次
構造:建築設計 明
施工:(株)金城組 立津友也
電気:日章電気工業(株) 神里真俊
水道:ヒコ設備 金城晴彦
お問い合わせ
(有)門一級建築士事務所
電話 098(888)2401
https://www.jo1q.com/
取材/比嘉千賀子(ライター) 撮影/泉公(ララフィルム)
毎週金曜日発行「週刊タイムス住宅新聞」
第2115号(2026年7月17日発行)より転載